当社共同設計・共同施工作品の「JRゲートタワー」が、第31回電気設備学会賞　技術部門　優秀施設賞を受賞しました。
一般社団法人電気設備学会が主催する当賞は、電気設備に関する学術と技術の進歩を図ることを目的として、特に顕著な功績、優秀な学術・施工・技術開発等の業績に対して表彰するものです。
技術部門は、施設及び開発の賞となっています。

一般社団法人電気設備学会：
https://www.ieiej.or.jp/

計画の背景

「JRゲートタワー（以後ゲートタワー）」は、名古屋駅において「JRセントラルタワーズ（以後タワーズ）」に隣接する旧名古屋ターミナルビルの建替え計画であり、JR・地下鉄・私鉄等が乗入れる名古屋駅直上のタワーズと15階までの各階を接続することで、ゲートタワー・タワーズ両ビルを一体化した施設となっています。
今回増築したゲートタワーは、タワーズ、JR名古屋駅及び地下鉄桜通線名古屋駅からなる一つの防火対象物となっており、延床面積は約74万m²（JR名古屋駅：約4万m2、地下鉄桜通線名古屋駅：約1万m2、タワーズ：約42万m²、ゲートタワー：約26万m²）、1日あたり利用人数は全体で約43万人となります。
計画の推進にあたっては、「タワーズと一体で利便性の高い魅力ある都市空間を創造し、名古屋駅周辺地区にさらなる賑わいを創出」、「オフィス集積地にふさわしい都市機能を補強し、名古屋駅周辺地区における多様なワーキングスタイルに対応」、「自然エネルギーの活用等により、環境への負荷低減に配慮したゆとりある都市空間を形成」という3点を開発コンセプトとしました。

電気設備の特徴

本施設は、名古屋駅、タワーズとも接続された不特定多数が利用する大規模複合施設であることから、災害に強く防災性能に優れた施設とすることを第一としつつ、最新複合用途ビルとして環境負荷の低減と機能性・快適性との両立、さらにはタワーズと連携した設備システムの構築を目指し、以下のコンセプトに基づいて計画を実施しました。

1. 不特定多数の利用者に対して災害に強く、安全で信頼性の高い設備
   複数の総合操作盤による防災システムを構築し、ブロック単位の多段階火災制御システムを導入しました。
   この防災システムが他の模範となる優れた特殊消防設備として認められ、消防庁長官賞を受賞するとともに、名古屋駅を含めた都市機能の安全性と信頼性を十分確保できました。
   また、タワーズと一体的に防災システムなどを構築することにより、管理者の運用を大きく変えることなく二館一体での運用を可能としました。
2. 地球環境に配慮した自然エネルギー、省エネルギー技術の活用により環境負荷を低減した設備システム
   自然エネルギー活用、省エネルギー技術の積極的な導入によりCO2排出量25%削減、CASBEE名古屋Sランクという目標を実現することができました。
3. 大規模複合用途における機能性、快適性を追求した設備
   各用途に適応した照明、防振・遮音措置、高機能な通信設備の導入により、最新複合用途ビルの高い機能性や快適性を保ちつつ、環境負荷を低減した設備システムとの両立も実現しました。

ゲートタワーの地下には、将来、リニア中央新幹線の駅ができ、各地域から幅広いお客様をお迎えする玄関口として、大きな役割を果たしていくことになります。
今回、このような都市機能を満足させる駅舎関連施設群の中枢ビルとして相応の防災性能と環境配慮機能を併せ持つ設備の構築を実現できました。

電気設備担当者