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2021.04 「The Okura Tokyo」が構造分野で4つの賞を受賞

The Okura Tokyo

当社共同設計・当社施工作品の「The Okura Tokyo」が、構造分野の権威ある下記の4賞を受賞しました。

  • 2020年度 CFT構造賞
  • 2020年度 日本鋼構造協会業績表彰 業績賞
  • 2021 CTBUH Awards Structural Engineering Award / 2021 Award of Excellence(構造工学賞 優秀賞)
  • 第22回 日本免震構造協会賞 作品賞
CFT構造賞

一般社団法人新都市ハウジング協会が主催するCFT構造賞は、意匠設計、構造設計、耐火設計及び施工において優れており、CFT造の普及に貢献した作品を選考し、その実現に貢献した設計者及び施工者、建築主を表彰するものです。

日本鋼構造協会業績表彰 業績賞

一般社団法人日本鋼構造協会が主催する業績表彰は、鋼構造及びその複合構造に関する技術の向上及び発展普及に功績があると認められるものを対象としています。
業績賞は、鋼構造及びその複合構造に関する技術の向上及び発展普及に貢献すると認められる業績に与えられるものです。

CTBUH Awards Structural Engineering Award

Council on Tall Buildings and Urban Habitat(CTBUH、高層ビル・都市居住協議会)は、シカゴに本部がある超高層建築の評議会組織です。
高層建築とサステナブルな都市居住に関するさまざまな情報を世界に普及させ、良好な都市環境創造のために専門家間の国際交流を幅広く行っており、デベロッパー、オーナー、投資家、建築家、学識経験者、エンジニア、建設業者など幅広い専門家が「CTBUH」の活動に何らかの形で参加しています。
CTBUHが主催する2021 CTBUH Awardsは、高層ビルと都市環境の進歩に並外れた貢献をし、最高かつ最も広いレベルで持続可能性を達成したプロジェクトと個人を表彰します。賞は20以上のカテゴリーで授与され、 Structural Engineering Award(構造工学賞)は高層ビルの構造工学の進歩に多大な貢献をし、高層ビルの技術的解決策と可能性を次のレベルに引き上げたプロジェクトを表彰するものです。

日本免震構造協会賞 作品賞

一般社団法人日本免震構造協会が主催する日本免震構造協会賞は、免震構造の技術の進歩及び適正な普及発展に貢献した個人、法人及び団体に対して表彰することを目的としています。
その中で作品賞は、新築、改修等は問わず、免震構造等の特質を反映した格別に優れた建築物等の実現に主たる貢献を行った個人、法人及び団体に贈られるものです。

The Okura Tokyo


北側外観:中央が「オークラ プレステージタワー」、右側が「オークラ ヘリテージウイング」、

オークラロビー:柱スパンおよび柱外形も原設計通りに忠実に再現

プレステージタワー客室:東京の今が一望できるよう窓が大きく開放感あふれる空間

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主要構造部を示した構造架構パース

(クリックして拡大)
左(構造立面図):ブレースチューブ構面と多層を拘束するメガブレース
右(客室階平面図):ブレスチューブ構造により客室階外周部の柱断面を縮小し眺望を確保

構造切替階(26~27階)建て方時写真:柱軸力をスムーズに流す斜め柱を配置。斜め柱端部の接合部には1か所約20tonの鋳鋼を採用し、無理のない軸力の連続性を確保。

本計画はホテルとオフィスの用途を持つオークラ プレステージタワー(高層棟)とホテルのみのオークラ ヘリテージウイング(中層棟)で構成されます。
建築主からはホテル階での広い客室面積と眺望の確保、およびホテル、オフィスの利用者が安心して過ごすことができる高い耐震安全性の実現が求められました。
上下階で用途が異なるために柱位置も上下階で異なっており、また外周がすべて客室となるため、耐震要素の配置が難しい計画に対し、意匠計画と融合した効率的な制振構造を計画しました。
高層棟は用途を切替える26~27階に構造切替階を設け、切替階より上には吹き抜け空間に面した内部構面に12層にわたる大きなX型ブレースを配して剛性を高めたブレースチューブ構造としました。
切替階より下部はブレースチューブに対して相対的に柔らかいラーメン架構とし、コア部にオイルダンパーを集中配置することでソフトローワーストーリー制振構造とし、効率の良い制振構造を実現しました。
この構造形式により外周部の柱を450mm角まで細くし、客室の眺望に配慮できました。さらに客室階全体をブレースで固めているため、大地震時の層間変形角も小さくなり、368室にも上る客室の高級仕上げ材や建具等の損傷を軽減することにも貢献しています。
上部の客室階と下部のオフィス階は柱割が異なるため、構造切替階で柱軸力をスムーズに流す斜め柱を配置しました。
3次元的に複雑に柱梁が集まる斜め柱端部の接合部には1か所約20tonの鋳鋼を採用し、無理のない軸力の連続性を確保しました。
鋳鋼接合部の形状はFEM解析を用いて局所応力を低減するようにテーパー部の曲率を確認し、3Dプリンター模型を用いて施工計画の打ち合わせを行い最終決定しました。
また、世界中の人々から愛されたオークラロビーを再現するため、高層直下の柱を600mm 角とする必要がありましたが、制振構造によって地震時の層間変形角を抑え、さらに引張強度780N/mm2鋼材とFc150のコンクリートを組み合わせた超高強度CFT柱を採用することで完全再現に貢献しました。
中層棟は外周を細柱とした柔らかなフレームとし、コア部に配置したオイルダンパーにエネルギー吸収を集中させ、主架構をほぼ弾性に抑える計画としました。
これらの構造計画と実際の施工に先立つ試験施工や様々な検討をもってグレードの高い耐震性能の実現とオークラロビーの再現という「The Okura Tokyo」の伝統継承行為に寄与できたと考えています。

建築主 株式会社ホテルオークラ
所在地 東京都港区虎ノ門2-10-4
用途 ホテル、事務所、店舗、駐車場
構造 地下:鉄筋コンクリート造(一部鉄骨鉄筋コンクリート造)
地上:鉄骨造(柱:一部CFT造)
階数 地下1階、地上41階、塔屋2階
敷地面積 20,442.44m2
建築面積 13,262.54m2
延べ面積 180,905.72m2
工期 2016年6月~2019年7月
設計 虎ノ門2-10計画設計共同体
(大成建設株式会社一級建築士事務所、株式会社谷口建築設計研究所、株式会社観光企画設計社、株式会社日本設計、株式会社森村設計、株式会社NTTファシリティーズ)
インテリアデザイン 大成建設株式会社一級建築士事務所、株式会社谷口建築設計研究所、株式会社観光企画設計社、GAデザイン・インターナショナル
照明コンサルタント ライティング プランナーズ アソシエーツ
施工 大成建設株式会社東京支店
詳細 WORKS:
https://www.taisei-design.jp/de/works/2019/theokuratokyo.html
NEWS:
2020.05 「The Okura Tokyo」がインテリアプランニングアワード2020で複数受賞
https://www.taisei-design.jp/de/news/2020/05_01.html
2020.11 「The Okura Tokyo」が、緑の都市賞国土交通大臣賞を受賞
https://www.taisei-design.jp/de/news/2020/11_01.html
2020.12 2020年度日本建築家協会優秀建築選(100選)に4作品が選出
https://www.taisei-design.jp/de/news/2020/12_01.html
構造設計担当者

中島崇裕

安藤広隆

豊島裕樹