当社設計・当社施工作品の「TAC.T BRIDGE」が2025年度グッドデザイン賞を受賞しました。
公益財団法人日本産業デザイン振興会が主催する当賞は、総合的なデザインの推奨制度です。
デザインによって私たちの暮らしや社会をよりよくしていくための活動であり、1957年の開始以来、シンボルマークの「Gマーク」とともに広く親しまれてきました。
当賞は、製品、建築、ソフトウェア、システム、サービスなど、私たちを取りまくさまざまなものごとに贈られます。かたちのある無しにかかわらず、人が何らかの理想や目的を果たすために築いたものごとをデザインととらえ、その質を評価・顕彰しています。
GOOD DESIGN AWARD (g-mark.org):https://www.g-mark.org
TAC.T BRIDGE
概要
研究施設内の事務棟と実験棟をつなぐ、一般流通小径木材を二重螺旋状に組み上げた人道橋です。
屋外での木造の弱点を克服することで、木材の利用領域を拡大し、建築物における一般流通小径木材の選択肢を広げることにより木材利用を促進するとともに、環境配慮コンクリートを橋脚基礎に適用し、脱炭素社会の実現に貢献する建築を目指しました。
デザインのポイント
1.屋外において一般流通小径木材によるロングスパン架構を実現し、木材の利用領域拡大と更なる利用促進の実現
2.木材の対候性・耐久性の向上と部材交換が容易な部材接合部の開発により、屋外での木造建築の長寿命化
3.製造時のCO2排出量を大幅に削減する環境配慮コンクリートを柱脚基礎に適用し、脱炭素社会の促進に寄与
背景
近年ではサステナブルな社会の実現のため多様な建物で木造回帰が進んでいます。
「TAC.T BRIDGE」では、一般流通小径木材の利用領域を拡大し、建築物における木構造の選択肢を広げ、木材の利用促進による脱炭素社会の実現に貢献する建築を目指しました。
一般流通小径木材は、主に住宅建築で利用されている材料であり、大断面集成材に比べ小径であるためロングスパン構造への適用は不向きとされてきました。
また、水、紫外線により腐朽、ひび割れ等があり、屋外利用における耐候性・耐久性の確保という課題がありました。
そこで、ロングスパン構造を可能とするため、高い耐力・剛性・耐久性を有する木部材ボルト接合を開発するとともに、木軸組みとプレストレス架構の併用による構造方式を採用しました。
また、屋外利用における耐候性・耐久性の確保を目指し、当社開発の木材保護塗料を適用、さらに木部材の交換が可能な設計により、屋外における木造建築の長寿命化を図りました。
経緯とその成果
屋外においても一般流通材を使用した長寿命な木造ロングスパン建築を実現し、脱炭素社会に寄与する建築を目指しました。
木部材接合部に、高い接合耐力と剛性を確保したボルト接合を新たに開発し適用しました。
木部材の部材間の隙間や緩みを抑制し、圧縮力に強い木材の特性を発揮させて安全性が高まるよう、橋全体に圧縮力を導入するプレストレス架構を採用しました。
これらによりロングスパン木架構を実現しました。
汎用的な木材保護塗料と比較して2倍以上の耐候性・耐久性を持つ当社開発の木材保護塗料により、対候性・耐久性の向上しました。
経年等により、木部材の劣化が生じた場合に備え、単材ごとの交換時においても構造安全性が保持できる余力を持たせた部材配置としました。
さらに、著しく木部材の耐力が低下した場合に備え、補強部材が追加可能な部材配置とすることで、屋外利用における長寿命化を図りました。
柱脚基礎はカーボンネガティブを実現するコンクリートを建築構造体として国内初適用しました。
建物概要
- 建築主
- 大成建設株式会社
- 所在地
- 神奈川県横浜市戸塚区名瀬町344-1
- 用途
- 渡廊下
- 構造
- 木造
- 敷地面積
- 34,432.36m2
- 建築面積
- 102.72m2
- 延床面積
- 102.72m2
- 工期
- 2023年1月 ~ 2023年10月
- 設計
- 大成建設株式会社一級建築士事務所
- 施工
- 大成建設株式会社横浜支店
大成建設担当者

- 建築設計
- 関政晴

- 建築設計
- 輪湖大元

- 構造設計
- 一色裕二

- 構造設計
- 橋本直樹

- 構造設計
- 森はる奈




