当社開発製品の「Bクランプ」が2025年度グッドデザイン賞を受賞しました。
公益財団法人日本産業デザイン振興会が主催する当賞は、総合的なデザインの推奨制度です。 デザインによって私たちの暮らしや社会をよりよくしていくための活動であり、1957年の開始以来、シンボルマークの「Gマーク」とともに広く親しまれてきました。
当賞は、製品、建築、ソフトウェア、システム、サービスなど、私たちを取りまくさまざまなものごとに贈られます。かたちのある無しにかかわらず、人が何らかの理想や目的を果たすために築いたものごとをデザインととらえ、その質を評価・顕彰しています。
GOOD DESIGN AWARD (g-mark.org):https://www.g-mark.org/
Bクランプ
概要
単管パイプを主架構とする、リサイクル・リユース活用を想定した、中長期利用の建築物の接合部に適用したオリジナルクランプです。
洗練された美しいステンレス旋盤加工の乾電池形状のパーツを直列に繋げて部材の角度を自由に調整できる機構とし、素手で簡単に着脱できるプレートを嵌合させることで各パーツを連結する仕組みとしました。
デザインのポイント
1.「用・強・美」既製品の機能を維持しながら、安全性と美観性を兼ね備えたオリジナルクランプ
2.ミニマルでスタイリッシュな接合部により、繊細で浮遊感のある佇まいの「仮設感のない建築」を実現
3.単管パイプを構造架構とする中長期利用の建築物の普及に貢献し、「サーキュラーエコノミー」を促進
背景
リサイクル・リユース活用を前提とした半年間限定利用の物販施設において、建築確認申請が必要とされる建築物の単管パイプの構造架構を採用しました。
繊細で浮遊感のある佇まいの「仮設感のない建築」を実現するために、用・強・美を兼ね備えた接合部の デザインが重要であると考えました。
建築現場の足場などに用いられる既成クランプは、容易に組立・解体できる単管の骨組みの接合部の金物であり短期利用の仮設構造物に適していますが、強度の観点から中長期利用の建築物の主架構には適用ができないという課題があり、人の手が届く範囲に使用する場合はむき出しとなったボルトをカバーで保護する必要がありました。
そこで、従来のクランプの特徴を維持しながら、単管パイプの架構による建築物のリサイクル・リユースによりサーキュラーエコノミーを促進することを目的とし、接合部の強度を高め、安全性を確保しながら、ミニマルで美観性に優れたクランプを開発しました。
経緯とその成果
既製品クランプの特徴である、単管パイプの角度を自由に調整できること、簡単に取り付け・取り外しができることを設計条件としました。
Battery形状に由来する「Bクランプ」は、ステンレス旋盤加工により円柱部材にφ48.6の単管パイプを通す開口を設け、乾電池を直列に並べるように側面の凹凸を嵌合させる機構としました。
「Bクランプ」の内部にボルトを仕込むことにより、一面せん断耐力50kN以上の強度を確保しました。
精度の高い加工技術により回転軸を持たせることで、自由に角度を調整するこができ、手作業で容易に着脱できる「U型プレート」を隙間にセットすることで部材を固定できます。
さらに、建物水平力を負担するターンバックルの端部に「O型プレート」を仕込むことで、単管パイプの柱・梁と斜材が一体化した繊細で美しい建築を実現しました。
「Bクランプ」と単管パイプの組み合わせにより自由な造形が可能であり、解体後は別会場に適した形態でリユースします。
製品概要
- 開発者
- 大成建設株式会社
- 用途
- クランプ
- 素材
- ステンレス
- サイズ
- Φ64×L90
- 製作
- 株式会社浜野製作所
大成建設担当者
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- 左から建築設計 勝又洋、構造設計 御所園武、建築設計 郭晧陽、建築設計 山田清香、建築設計 グエンクアントゥアン、設備設計 門積直宏、設備設計 近森真洋


