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TRAINING PROGRAM / STUDENT SQUARE

石膏ボード工場見学

協力:吉野石膏株式会社千葉第2工場

小菅 俊太郎(建築)
2004年入社



石膏ボードは今や基本的な建材となっており、吉野石膏は全国シェアのおおよそ8割がたを占める。石膏ボードの原料と言えば石膏と紙。印象としては非常に単純な材料である。

基本的な知識としてそれくらいは知っていたが、実際工場に足を運ぶとなかなか予想を裏切るおもしろい経験をすることができた。

まず強い印象を受けたのは、石膏ボードという材料の高いリサイクル性である。石膏の調達に関しては海外からの輸入も何割かあるが、かなり高い割合で国内の産業副産物が用いられている。表面に貼られる紙もほぼ全てが再生品である。バスに乗って通り抜けた巨大な倉庫空間の中には、輸入されたものとリサイクル資材の両方が文字通り山のような大きさになってストックされている。

石膏が水和、成型され、硬化し、紙を張られていく。それは静止して行われることなく、500メートル近い長大なラインの上を流れていくうちに一つの工程として短時間の中で行われる。非常に原始的であり、同時にとてつもなくヒューマンスケールを超えた工程である。できあがったボードを切断し、出荷する。

ベースとなる製品自体は単純だが、そこから生み出されるバリエーションは多彩である。石膏ボードは耐火性、防音性などを兼ね合わせる材料であり、穴明き加工で吸音材を作ったり、添加剤でホルムアルデヒドを吸収したりと、さまざまな性能をそこから派生することができる。居住・生活環境に現在求められるようになったさまざまな性能をクリアするのがある一つの、比較的単純な材料であるということはなかなか興味深い点だと思う。

石でできたヨーロッパのまちや木造の日本の伝統建築物群に足を踏み入れる時、その各々の時代と環境の中で普遍的に用いられている建材があり、それが機能的にも、美的にも優れたパフォーマンスを発揮し、上手に使われていると感じる。現代建築の醸成はまだ時間の観点から言うと始まったばかりだが、その中で使われている主要な材料におそらくこの石膏ボードというものは位置付けられるのかもしれない。単純なこの材料がこれからどんな変化を遂げていくのか、建物を作る者として強い興味を持って見守ってきたい。