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TRAINING PROGRAM / STUDENT SQUARE

技術センター見学

宮本 昌和(建築)
2005年入社



技術センターには、大学院生のときに講義の一環で訪問したことがあり、大まかな実験設備は既に知っていた。そのときの講義はグリーンビルディングといって、環境・エコロジー色の強い講義であった。今回は建築を設計するという観点から見た場合に興味深く感じられるものが幾つもあった。

一つは、風洞実験である。巨大な実験装置と導圧チューブの埋め込まれた模型に圧倒されたり、ルーバーなどの部材と風との共鳴を調べ装置に新しい発見があった。と同時に、建築の設計と結びつけて考えた場合、建物の形態を風によって決められないだろうかと思った。ビル風、風と建築部材の共鳴による騒音などの対策として、風に対して最適な形態あるいは建物配置があるのではないかと思った。形態と機能とは、そんなに関係があるものではないと思いながらも、やはり形態が何らかの要因から導かれているとしたら、とても説得的な建物であって、説得的な建物ほど強いと思う。今はまだ、建物の設計が煮詰まってきた頃に実験を行っているということだが、設計のごく初期の段階、配置計画の段階から設計と技術が互いにフィードバックを繰り返しながらプロジェクトが進んでいけば、おもしろい形態が生まれるのではないかと思った。

二つ目は火災チームの講義で、これは強度を高くするとか性能を高めるといった話でないところが新鮮だった。講義の中で、耐火基準はオーバースペックになっているという認識から、最低限度まで耐火性能を取り除くことによってコストダウンを計るという話があった。これは、どんどんハイ・スペックになっていく近年のサステイナブル建築にも表れていると思った。いろいろな設備を搭載して「環境にやさしい」より、最低限の設備で「環境にやさしい」ほうが高度だと思う。

もう一つ、興味深いと感じた講義は、ICカード=電子タグや3Dレーザースキャン、ヴァーチャル・リアリティといったものである。これらは、建築以外の分野の最先端技術である。建築以外の技術を建築に変換したとき、どのような新しい空間が生まれるのか。建築がヒトを統制する時代が終わって、情報や快・不快がヒトを統制する時代になった現在において、建築はどんどん要らないものになってくる恐れがある。そのようなときに、建築と建築以外の技術との融合、それによってできる新しい空間は、建築を生き残らせるために是非とも実現させたいと思った。