TRAINING PROGRAM / STUDENT SQUARE

設備現場研修

協力:霞ヶ関中央合同庁舎第7号館作業所

大木 泰祐 (設備)
2006年入社



現場研修では、設備図に表現した線やシンボルが、現場においてどのような手順で形になり、納められているかということを経験することができた。また、現場での工程管理や安全管理等、設計フェーズとは異なる仕事の進め方についても学ぶことができた。

私の配属された「霞ヶ関中央合同庁舎第7号館(以下、7号館とする。)」は、官庁棟、官民棟の2棟で構成される国と民間の施設である。約30年間は国有地において民間施設が運営されるPFI事業のプロジェクトであり、所有区分等の考え方が複雑であった。そのため、プロジェクト概要を理解するのに苦労した。7号館の設備計画は、様々な種類の熱源機器による効率的なエネルギー供給、ナイトパージ・自然換気・屋上緑化によるエネルギー消費削減と設備的に様々な試みをしており、初めて関わった現場で、多くの技術を学ぶことができた。また、官庁棟の隣には、保存棟があり、改修工事の現場も同時に見ることができた。1つのプロジェクトとしては、規模が大きく、システムも煩雑なため、全体をまとめるマネジメント力というのは、相当なものであると感じた。

現場での作業は主に、空調・換気ダクト設備図、衛生設備図、総合図を確認しながら、基準階を巡回し、現場の状態と図面の整合チェック等を行っていた。ダクト経路、VAVやダンバーの位置や種類を注意しながら現場状況を把握した。衛生竪配管は、ユニット式であったため、上下階の納まりに着目して現場をまわった。電気設備に関しては、アウトレットボックスおよび管路のみ(一部配線有り)の施工状況であったため、イメージが頭に残りづらかったが、コンセント、スイッチ、照明の取付高さを感覚として身に付けることができた。設備図では、主にダクトや配管をシングルラインで表現するため、そこから立体的に考えるのは、訓練が必要である。現場での作業から、設備図に書かれた線がどのように現場で反映されるかを細かくチェックできたため、図面に書かれる線の意味を改めて理解し、納まりに対する感覚も養うことができた。

現場に配属された当初、工期が遅れているということもあり、緊張した雰囲気が漂っていた。その中で、工期を調整し現場をまとめていく仕事は、設計とは違ったシビアな面を感じた。設計者・施工者と立場が違い、与えられた仕事は異なるが、1つのプロジェクトをまとめていくという共通の目的を持っている。今後、プロジェクトを進めていくため、両者の考え方を学ぶというのは、役に立つと考えられる。7号館の隣には、日本で最初の超高層ビルである霞ヶ関ビルが建っており、現場研修を初めには、霞ヶ関ビルの建物高さのほうが高かった。1ヶ月もすると霞ヶ関ビルの高さを超えており、工事のスピードには大変驚いた。現場の様子が目紛しく変化する短い期間での研修であったが、今後、現場で経験したことを実施設計おいて活かしていきたい。