TRAINING PROGRAM / STUDENT SQUARE

石工場見学

協力:株式会社ガイアテクノ三重工場

尾崎 悠子(建築)
2007年入社



石工場には、御影石や大理石のおおきな塊がところせましと並べられていた。その多くは海外からの輸入であることも驚きだが、日本の石が関東近郊で採石できることにも意外な印象を受けた。

仕上げにはいくつかの種類があり、その方法により色の出方がずいぶん異なる。仕上後の色を簡単に推測するには、乾燥した石の肌に水をかけてやるのがいいらしい。日常的に良く見るのは、本磨き、ジェットバーナー仕上げ、水磨きなどだと思うが、水磨きは、本磨きより手間がかかる。ここで初めて知ったが、単純に考えると水磨き程度の磨き具合で止めるか、さらに磨いて本磨きに仕上るかという工程を踏んでいると思ってしまうが、実際には、本磨きをしたあと、わざわざマットな質感に変えて、水磨き仕上にしている。こうしないと、表面の平滑さの精度が悪い製品になってしまうからだそうだ。ものというのは、何でも同じかもしれない。写真用紙は、光沢より絹目調(あまりテカテカ光らない光沢紙)のほうが高価だし、塗装も艶ありとつや消しだと、艶ありにしたあとにわざわざ消すような工程を経る、すなわち、手間ひまをかけることがある。一番光沢のあるものより、乱反射するようなつやを消した加工のほうが、時間、お金、手間がかかっていることが多いようだ。ジェットバーナー仕上げは、石材結晶の熱膨張率の差によって、表面の結晶ははじき飛ばして、表面に凹凸の表情をつくる仕上げ方法で、石の結晶ひとつひとつがより鮮明に見える。

また採った石を成形する方法も、一般的には、数箇所穴を開けて、その穴にセリ矢を打ち込むことで徐々に割れを大きくしていく方法だが、採った石の形が球体に近いときや不整形な形の場合は、一つのセリ矢で、凸になっている部分をはつっていくという作業をひたすら繰り返して、直方体に近づけていくという方法もある。石の目がない堆積岩は、はつった面が丸く削り取られていて、なんとも不思議な表情ができていた。

私たちの身近にある石は整形され、仕上られた美しいものばかりだが、実際にはもっと荒々しくて、自然の力を感じられるようなものが原型にある。手を加えることで失われるものもあることが、少し残念だ。工程の途中で止めてその質感のまま使用することは、まったくないことはないが、あまり多くはない。しかしピカピカに磨かれていない石の美しさもあると感じた。石工場の見学を生かすなら、そういうところに何かあるのではと思う。