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WORKS 2000

大東京火災埼玉自動車研修所

用途:自動車研修所
所在地:埼玉県岩槻市
延床面積:4,651m2
地上:4階

建築設計主旨

計画
施設の内容としては、1階-実習スペース、2階-大・中・小教室と事務所、3・4階-食堂と宿泊室50室、屋外駐車場45台です。研修ゾーンと生活ゾーンという機能領域を断面的に明快な構成としました。またエントランスホールを1階に設ける必然性がないことから、独立した階段で2階に直接アプローチさせ、メインの日常動線となる階段を建物の中心に設けました。
格子=構造体=ブリーズソレイユ
建築全体の構成を決めているものは外部に表現されている「格子フレーム」です。
この格子フレームは構造体(柱・梁)であり、また日照をコントロールするブリーズソレイユでもあります。構造スパンを3mとし、柱、梁ともに同サイズ(400×900)のRC造の扁平構造体としました。この連続する軽快な格子によって、内部の異なる機能を外部に表わすことなく、均質なファサードを構成することが可能となります。また、プレーンでシャープな格子となるように、47角磁器タイル張りの仕上げとしました。
格子フレームを除く全ての外壁を開口部とすることで、明るく開放的な内部空間を生み出しながら、奥行き850の格子によって日照負荷を年間約10%、削減することが可能です。エントランス階段や食堂、メイン階段は格子フレームの内側に配置する必然性はなく、対照的なガラスの箱の表現として、格子フレームに付加する形態としました。
構造表現・視覚的連続性
南北に配置された格子フレームは12mスパンのPPC梁で結ばれ、フレキシブルな内部空間を生み出しています。内部空間は外部と同様に、可能な限り構造体を生かした、リズミカルで緊張感のある空間を構成しました。構成要素をシンプルに表現するために、殆どのの柱、梁はコンクリート打放し+塗装で仕上げています。
平面的に2-3階と3-4階にずらして設けている3つの吹抜けによって、ロビー、食堂、ラウンジの空間に視覚的なつながりをつくり、その境界には格子サイズの異なる防火区画の格子スクリーンや木製格子を重なり合わせて配置し、視覚的つながりに変化を与えました。さらにフラットなテラスに置かれた、2つのガラスの箱(食堂とメイン階段)は互いに中庭を介して呼応し、水平方向の視覚の連続性を表現しました。
環境配慮
格子フレーム以外の環境に対する配慮としては、駐車場の芝生と屋上テラスを含め、敷地の約25%を緑化し、周辺の緑との連続性にも配慮しました。その他、エントランス階段とメイン階段の自然換気、屋上テラスの二重スラブ化など環境負荷軽減ための建築的技術を取り入れています。

担当

担当
設計・監理 大成建設株式会社一級建築士事務所
監理監修 日建設計株式会社
大成建設担当者
総括 橋本緑郎
建築設計 今里清、井深誠
構造設計 平山浩史、川岡千里
設備設計 今吉立、竹内伸介

社外受賞

2002年 東京建築賞 第28回建築作品コンクール 優秀賞
2002年作品選集2002掲載