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WORKS 2003

ラボランドくろひめ本部棟

用途:研修施設
所在地:長野県上水内郡信濃町大字野尻字伝九郎新田
延床面積:694.17m2
地上:2階

建築設計主旨

この建物は緑豊かな黒姫高原の中にある宿泊ロッジ群の管理棟として計画されました。長野県北部に位置し、多いときには一晩に1mもの積雪がある地域であること、教育キャンプで訪れる約1000人の子供たちの食事の配膳を短時間で行わなければならないこと、4ヶ月のオフシーズン中での施工としなくてはならないこと、が課題として与えられました。
これらを満足するために"simple is best"をコンセプトとして計画を進めました。すなわち、

  1. 寒冷地にふさわしいsimpleな形態
  2. プラットフォーム式のsimpleな配膳方法
  3. 短工期、高品質を可能にするsimpleな架構と材料
です。また、今回新たにアメニティ空間としてガラス張りのラウンジを設け、利用者が暖炉を囲みながら、自然を満喫できるようにしました。

構造設計主旨

積雪荷重315cm(重量9450N/m2)に対して大屋根厚さを低減すること、短工期(4ヶ月)への対応、が構造設計のポイントでした。以下に、対応を示します。

  • 大屋根を極力薄くするため、3800の桁スパンの真中に梁を配置し、梁支配幅を1900としました。その結果、屋根梁せいを小さくすることができました。
  • 2500の軒の出に対し、先端を125mmに絞った片持ち梁を採用、軒先の250の化粧溝形鋼の厚さ内に抑えました。構造材の存在感を小さくすることができました。
  • 屋根勾配を4/10とし、屋根形状係数μbを0.93と設定しました。7%ではありますが積雪荷重を低減することができました。
  • 以前計画では、RC造杭基礎であったものを、鉄骨造外壁PCとすることで工期の短縮、基礎の低減(地盤改良+直接基礎)を図りました。

設備設計主旨

照明は、室内に斜め天井部が多く、高天井部分もあるため、照度分布及びメンテナンスに配慮した計画としました。また、寒冷地であるため低温時のランプ特性に配慮し、使用場所により器具の選択に注意しています。本部棟は、敷地内に点在するコテージや他の施設との連絡や管理の拠点であるためスタッフの管理がしやすい様、事務所内の機器レイアウトに配慮しています。

空調は全面ガラスのラウンジ、省エネ、イニシャルコスト、ランニングコストを考慮、温熱シュミレーションを行い、夏期、中間期は窓開放による自然換気、冬期のみ暖房としました。

  • 温熱シュミレーションは季節毎の風向き、日射、発熱を考慮、各居室ポイントの温熱環境を分析しました。
  • 冬期空調はクリンヒータ+ぺリメータ電気ヒータ+天井サイクルファンによる暖房としました。

担当

大成建設担当者
総括 小笠原祥仲
建築設計 渡邊ゆたか、斎藤美和、矢崎裕信、渡邊マユコ
構造設計 松原正安、渡部勝利、武谷政國
設備設計 久保田宗人、輿水充
電気設計 塚田文哉

社外受賞

2006年 日本建築学会作品選集2006
2006年第31回 日事連建築賞奨励賞