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WORKS 2004

よみうりランド駅前計画

用途:事務所
所在地:東京都稲城市
(よみうり棟)
延床面積:2,652.00m2
地下:1階/地上:3階
(コルグ棟)
延床面積:4,010.57m2
地下:1階/地上:4階

建築設計主旨

本計画は京王線よみうりランド駅前に、この一帯で遊園地とゴルフ場を運営している“よみうりランド”と、シンセサイザーのメーカーとして有名な“コルグ”の本社を2棟隣接して計画しています。
都心から多摩丘陵へと風景が変化しはじめる緑豊かな場所であり、緑の息吹と風の流れを感じるこの場所に、周囲の環境といかに調和した計画にするかが大きなテーマでした。
ここに2棟の本社を計画するにあたって、建物が周囲の地形に溶け込むようにと、建物高さを抑えた郊外型低層オフィスの理想形を追求しました。
建物が隣接する側に両棟のコアを配置し、2棟の間の空間は共有のコモンスペース(中庭)として計画しました。
建物のファサードは駅前側と中庭側を共通のデザインボキャブラリーで構成し、東西面はそれぞれのオフィスの内部要求に呼応したデザインとなっています。
コルグ棟は西日を遮蔽し内部の機密を保持する目的で外部からの視線を遮断しながらも、自然採光を可能するという相反する要求に対して、変化するランダムデザインというコンセプトで上下に可動するパンチングパネルブラインドを計画しました。
外部から見たときにミニマルな形態の表面が時間の経過とともに刻一刻と変化し、周囲の木々の揺らめきや四季の変化に呼応して風景の中に溶け込んでいくような効果をイメージしました。
駅前側にはロータリーと一体となった広場空間を設け、新たな遊園地への導入部として駅前の活性化に寄与しています。
青い空と木々の緑に硬質なガラスに反射した光が呼応し、遊園地を行き来する子供たちの笑顔を生き生きとさせています。

構造設計主旨

オフィス空間を有効に利用できるように、オフィス内の柱をできるだけ細くすることが本プロジェクトの構造的な課題でした。
その方法として地震力を建物コア部に配置した耐震ブレースで負担させることにより、オフィス内の柱をφ256の細径鋼管柱とする構造計画としました。
またコルグ棟の駅前広場川は、PC梁を採用した5.4mの張出床とすることにより、よみうりランド駅からコリドーへの動線の確保を実現しました。

設備設計主旨

屋上には設備機器を設置しないという2棟共通のデザイン主旨の基に、よみうり棟の空調室外機は1階ピロティ部分に配置し、黒色塗装を施して建築ルーバーと同化させ、キュービクルは建築内には置かない屋外地上式としました。
コルグ棟の空調室外機は建物南側の外壁にレイアウトしました。
よみうりランド本社ビル側は主要出入口を社員証カードによるカードリーダ+電気錠管理とし、24時間の出入を自由にしています。施設管理については夜間無人となるため、既存構内LANを利用したよみうりランド全体の警備センターで遠隔監視(火災、警備、設備、ITV)を行なっています。

ランドスケープ設計主旨

ランドスケープは、3つの要素-みち、広場、緩衝空間の有機的構成から成立しています。
既存の桜やスロープを活かした“みち”のネットワークを形成し、緑の斜面や様々なシークエンスの展開を図り、よみうりランドへ至る高揚感を創出しています。
“広場”は、建物のボリューム感に配慮し、パブリックなプラザとしての場を形成しています。
一方、パラレルに配された2つのボリュームによって創られる“緩衝空間”は、駅からの人の流れを山頂へとつなぐとともに、異なる事業主体の人々が共有するコモンスペースでもあります。
斜面林からの緑の連続と人の動き、小さなスケール感、そして桜や山頂を焦点とすることで、憩いの空間としての質に配慮しています。

担当

大成建設担当者
建築設計 伊勢季彦(よみうり棟)
田口晃、古市理(コルグ棟)
構造設計 渡辺征晃、板矢崇志
設備設計 小野田修二、矢後佐和子(よみうり棟)
中田義治、渋谷大介、矢田雅一(コルグ棟)
ランドスケープ 蕪木伸一、近藤卓