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WORKS 2005

金城学院大学W9・10号館

用途:大学
所在地:愛知県名古屋市守山区
延床面積:16,882.78m2
地下:2階/地上:5階

建築設計主旨

新たに開学された薬学棟(W10)と共通講義棟(W9)から構成される新校舎計画です。
レンガタイルを基調とした風格のある既存施設。その建学の精神を象徴する「ランドルフ記念講堂」。新校舎はこの象徴的建築物の最も近くに位置しており、かつ同等の規模を有しています。外観デザインは可能な限りこの象徴性に影響を及ぼさないものが相応しく、その一方で建設場所と要求機能からキャンパスの新しい顔となる表現が必要でした。
横方向を基調とした「ガラス」と「パネル」のパターンはコーナー部に向かって徐々に増加することで外郭部に柔らな印象を持たせ、さらに、このグラフィカルな表現により、一見階数の分からない高さを抑えた印象を創り出しています。この新しいデザイン要素により象徴性を守ると共に新学部(薬学部)設立という新しいイメージを表現しています。
また、積層材を使ったアプローチゲートやガラスの内面にはめ込まれた木製パネルなど、天然木を多用することにより美しい木々に囲まれた緑豊かなキャンパスと呼応します。

構造設計主旨

本建物は、工事中の周辺建物への騒音を極力低減するため、構造種別をS造のブレース付きラーメン構造としています。地下構造は土圧を受ける外周部にはRC耐力壁を配置し、外周柱梁のみをSRC造、建物中央部をS造としました。ブレースは2本の溝型鋼を使用し、山形鋼でジョイントする仕口とし、煩雑になりがちな端部仕口を簡便な納まりとしています。
二つの棟を結ぶ軽快な渡り廊下は、発生が予想される床振動に対して制振装置を設置することで、梁せいを極力抑えた断面としています。
高さ約20mの木製ゲートは芯柱をPCa構造とすることで最小断面280x400とし、大梁はS造としています。屋根面の水平剛性は、二つの棟とゲートを直径32㎜の鉄筋をトラス状に配置すると共に各ゲートを連結させることで確保し、ゲート屋根面のブレースを不要としています。地震時には、桁行方向は、2棟の揺れに追従可能なトップライトの変形角を設定し、間口方向は直径19㎜の鉄筋の変形で吸収する収まりとし、地震力を2つの棟に負担させることで、軽快な架構を実現しています。

設備設計主旨

建屋内には、薬学の実験、学習の施設として、RI実験室、NMR室、動物飼育室、専門実験室等の専門教室を備え、環境への配慮から屋上にスクラバー、ピットに各種排水処理設備を備えてます。
薬学棟の南面に設けられた金属製の小庇は夏の日ざしを抑え、一方で冬の日ざしを取り込むよう、出巾が調整されており、熱負荷抑制効果をもっています。あわせてスリットを設け、効率良い換気が可能です。また、実験室のドラフトチャンバーは外気負荷が低減出来る同時給排気方式を採用しました。各教室の空調はGHP(ガスヒートポンプパッケージ)方式、換気は全熱交換型換気扇を採用し、個別制御を可能とし、省ランニングコストに配慮した計画としています。
また、新校舎を象徴するエントランスゲート部分のライトアップ計画には、光シミュレーション(レンブラント)による検証を行い、木製ゲートの美しさを効果的に演出しています。

担当

大成建設担当者
建築設計 小林直明、三橋啓史、草山義文、関政晴、望月大輔、長坂亜希子
構造設計 板矢崇志
設備設計 豊原範之
電気設計 三宅英司

社外受賞

2005年 第30回 日事連建築賞優秀賞
2006年第38回 中部建築賞