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WORKS 2006

味の素株式会社 食品グローバル開発センター


撮影:三輪晃久写真研究所
用途:食品研究実験施設
所在地:神奈川県川崎市川崎区
延床面積:16,727.99m2
地上:5階

建築設計主旨

事業所内に散在する食品研究開発部門を集約し、個々の「知」の集積と、最先端の創造的研究開発を行うことを目的とした研究所です。
施設は、味の素の新商品をアピールするとともに、市場のニーズを捉える窓口となる「ゲストハウス」、実験研究を行う「研究棟」、量産に向けた製品試作を行う「BP(ベンチプラント)棟」から成り、商品化に向けた一連の研究開発を行う構成となっています。
研究棟では、研究居室エリアと実験エリアをクラスター型の分棟配置とし、これらを一軸のストリートで繋いでいます。この動線上に設けられたコミュニケーションスペースでは、ホワイトボード・ディスプレイ等のツールが設置され、研究者同士のコミュニケーションが誘発され、新たな発想がそこから生まれます。
また、分棟配置により生じた3つの外部空間は、自然を享受する「リサーチガーデン」として、研究者に憩いの場を提供しています。
さらに外観では、周囲のボリュームにあわせて分節された棟構成と、勾配屋根のフォルムにより、地域環境と調和した食品会社としての親しみやすいイメージを創出しています。

構造設計主旨

持続的な研究・開発を支える施設
免震構造を採用し資産や研究成果を守るとともに、将来の研究内容の変化に迅速に対応するため、大スパン化や実験室のモデュール化により、設備の更新性の確保などフレキシビリティーにも配慮しています。
免震形式は、天然ゴム系積層ゴム支承とオイルダンパーの組み合わせを採用することにより、大地震時の建物の揺れ(加速度)を低減するとともに、ガラス実験器具など什器の転倒防止性能を中小地震時も含めて向上させるため、速度・加速度低減に最も有効な長周期化と粘性系減衰化を図っています。
また、免震構造の採用は、雁行した4つの棟を廊下で連結した分棟配置計画に対し、連結部の応力を抑え、オイルダンパーをできるだけ外周部に設置する事でねじれ振動も抑えるので、エキスパンションジョイントを設けることなく長さ118mにおよぶ建物の一体化を実現しています。

設備設計主旨

世界へアピールする「環境保護・省エネルギー」を実現した施設
当社開発の薄型ダブルスキンシステムである「コンパクトダブルスクリーン(T-Facade Air)」をはじめ、クールピット、全面床吹出し空調、タスク&アンビエント照明等多くの環境技術を採用しています。
また、多大な空調エネルギーを消費するドラフト・フードへの導入外気量を抑えるために、要求に応じて給気風量を自動的に抑えるシステムを導入し、省エネルギー化を図っています。
実験研究エリアについては、外部への臭気の漏洩を防ぐため室内圧力を一定に保つ制御を行い、実験研究エリアと一般エリア間のエアロックを陽圧に保つシステムを導入しています

担当

大成建設担当者
建築設計 芝山哲也、三橋啓史、川原健二、﨏真介、中塚大介
構造設計 篠崎洋三、笹井弘雄、渡辺征晃、 古賀威信
設備設計 加藤美好、岩村卓嗣
電気設計 加藤美好、遠藤晃

社外受賞

2007年 第20回 日経ニューオフィス賞ニューオフィス推進賞
2007年 第52回 神奈川建築コンクール奨励賞
2008年日本建築学会作品選集2008