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WORKS 2006

クローバー芝公園

用途:事務所、店舗
所在地:東京都港区
延床面積:3,504.95m2
地下:1階/地上:9階

建築設計主旨

当建物の敷地は、芝公園に隣接しているため視界が開け東京タワーと六本木周辺の高層ビルを一望できます。即ち、近代の象徴である東京タワーと現代の超高層オフィスが共存した風景を体感できます。
このような敷地において、時代の連続性を踏まえて現代建築を考えるという「近代思想と現代技術の融合」は、現代・近未来の表現として相応しいと考えました。
鉄筋コンクリート造の構造グリットとカーテンウォールの表層グリットが多重レイヤーとして重なり、自然現象の中で近代抽象絵画のような表情「線と光と影のコンポジション」が生まれる工夫を行っています。
もともと、抽象芸術の世界では秩序正しい水平垂直の格子ラインやグリットは、近代における新しい時代(価値)の幕明けを予感する象徴として表現され、同時に美術作品として成立させるための最も重要な要素として「偶然」の構成(コンポジション)が追い求められています。
そこで、偶然性から生まれるバランスを日々変化する自然現象の写しこみの操作によって成立させるために、3種類のガラスと立体的な奥行きを演出するグリットレイヤーの構成を採用しました。自然の様相はレイヤーの中で光・影・雲の装飾に分解され日々刻々と変化し、まるで3次元の抽象芸術の世界が写し出されていきます。

構造設計主旨

主架構は7階までの整形な低層部を鉄筋コンクリート造とし、事務所空間にフレキシビリティを持たせるため、プレストレストコンクリート梁を用いて梁成を抑え10.5~13.0mの無柱空間を実現しています。
セットバックする8、9階は鉄骨造とし、低層部への負担を軽減しています。
桁方向および妻面には4mグリッドで柱を配置することにより耐震性を確保しながら建築レイヤーの一部を構成しています。
杭にはF.T.Pile工法(大成式杭頭半剛接合工法)を採用して建物の耐震性能を確保しながら経済性の向上に貢献しています。

設備設計主旨

テナントオフィスビルとして使い勝手のよい建物を目指して計画しました。
空調は冷暖フリー型の空冷ヒートポンプパッケージとし、4.0×4.0モジュールに1台の室内機を配置しています。これにより、快適性とフレキシビリティの両立を図っています。
事務所照明は、Hfスリムラインを採用しすっきりとした天井面を見せながら、照度は700lxを確保し、点滅区分も極力細分化することで、個別発停による省エネルギーに配慮しました。
また、収益性を向上させるため、メンテナンス性を考慮しながらも、コンパクトなシャフト計画を実現しています。

担当

大成建設担当者
建築設計 橋本緑郎、川野久雄、舌忠之、佐藤菜々子
構造設計 佐藤啓治、北条久子、大石哲哉
設備設計 澤田章、濱田憲一、鈴木真人
電気設計 澤田章、小野田修二、小林徹也