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WORKS 2006

東京大学柏キャンパス環境棟


撮影:川澄建築写真事務所
用途:大学
所在地:千葉県柏市
延床面積:21,031m2
地下:1階/地上:7階

建築設計主旨

この計画のテーマは、環境学の研究の場としてPFI事業で示された基本理念や詳細なプログラムをいかに建築として魅力ある空間とし、技術的に説得力のあるかたちで実現するかにありました。
柏キャンパスは大学院大学であり日常的な賑わい感が不足しています。そのため、生活する人同士の気配の伝わりやすい空間構成としました。
階毎に分かれた専攻を視覚的に結びつけるため、建物形態のS字型の生み出す2つの中庭や、建物中央の8層吹き抜けのアトリウム、インフォーマルな集まりを促す各階ラウンジとスキップバルコニーなど、空間のつながりを確保しました。そして、各部屋と廊下間の連続性を良好にするため、ガラス開口の開閉可能なシステム間仕切りとしました。
また、キャンパスのマスタープランと連動している帯状広場に面して、エントランスホール、インフォメーションギャラリー、講堂のホワイエを連続空間として扱い、多彩な利用ができるようにしました。
外壁はRC純ラーメンのスケルトンに金属断熱サンドイッチパネルをサッシ枠に直接留める工法を採用し、下地鉄骨と内装仕上げを省いて、経済性・環境性・将来対応の柔軟性を同時に実現しました。
また、各方位の日射特性に応じて水平垂直を使い分けたルーバーをこの外壁に併置することで、年間冷房負荷を36%削減することができました。

構造設計主旨

スケルトンを確保した耐震壁付ラーメン構造
S字型の平面形状に対して、アトリウムを介した2棟のL字型架構の組合せとして構成することで、開放感のあるアトリウムを創出する建築計画と調和した架構計画としました。
各L字型架構内に、コア周りと外周部にバランス良く耐震要素を配置することで、耐震安全性を確保すると同時に、スケルトン・インフィルを実現できる構造計画としています。
2棟間はアトリウムの屋上階と1階レベルのスラブにおいて連結しており、エキスパンションのない構造としています。
そのため、連結部のスラブの床梁を剛強にして、十分な面内せん断剛性及びせん断耐力を与えることで、L字型平面架構の地震時ねじれ挙動を互いに拘束し、建物全体の地震時挙動を安定させる構造計画としています。

設備設計主旨

共用部を自然エネルギーで快適空間に
実効性のある省エネルギー技術や自然エネルギー活用、環境に配慮した機器の選定、研究のダイナミックな展開に対応できる柔軟性の実現を設備計画のテーマとしました。
アトリウムと階段室上部のガラスボックスには、温度差・気圧差・風の誘引効果で換気を行うベンチレーターを設け、ピットを利用したクールチューブからの外気の取り込みと連動させて、廊下やアトリウムの共用部の自然換気を促しています。
これら共用部の開口部の寸法や位置はコンピュータによる気流と温熱シミュレーションの検証結果に基つき決定しています。
また、東京大学生産技術研究所の大岡助教授の協力を得て、基礎杭に埋めたパイプに水を循環させて地中熱を利用する輻射熱冷暖房をエントランスで採用しました。
維持管理業務まで含んだPFI事業では、LCCの低減に直結するこれらの技術提案や実際に運用を開始した温熱環境の実測データを建物の運用にフィードバックする仕組みが重要です。そのための検証を大学と共同しながら始めています。

担当

担当
計画コンセプト・建築設計ディレクション 大野秀敏+東京大学大野研究室
設計 日本設計・大成建設設計共同企業体
大成建設担当者
総括 (日本設計)宇口進
(大成建設)芝山哲也
建築設計 日本設計)近宮健一、平山浩樹、真崎英嗣
(大成建設)大原信成、高橋広直、藤本鉄平
構造設計 日本設計)小林秀雄
(大成建設)井上哲士朗、早部安弘、井之上太、山川慶二郎
設備設計 日本設計)小内實、生島宏之
(大成建設)森山泰行、嵐城太郎
電気設計 (日本設計)小野塚能文、江村博文
(大成建設)森山泰行、岡本隆
ランドスケープ 大成建設)蕪木伸一、藤澤亜子
シミュレーション (大成建設)横井睦己

社外受賞

2007年 第8回 JIA環境建築賞優秀賞
2007年 第13回 千葉県建築文化賞
2008年 日本建築学会作品選集2008
2008年 第7回 エコビルド賞