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WORKS 2007

ミクニ 菊川工場

用途:自動車部品工場
所在地:静岡県菊川市
延床面積:12,164m2
地下:免震層/地上:2階

建築設計主旨

本建物は「東海地震対策、CO2排出量の削減」という施主命題に対して、建築・設備・構造での総合的に取り組み、BCMに基づいた環境配慮・省エネ建築を目指しました。
菊川市と東名高速を一望できる「茶畑の丘上」という立地性を活かし、景観及び内部からの眺望に配慮しています。
外観デザインは、高速道路への顔として機能する南側と、菊川市への顔として機能する北側をダブルファサードと位置づけ、長大な壁面を多角形状に3枚に折り曲げたプレートを持ち出し、両方向からの視線を受け止めるカタチで相似性を持たせています。
内部空間は二層の生産ゾーンを入れ子状に囲うように、MiC免震層、厚生エリア、機械室エリア、天井歩行メンテナンス層を設置し、外部負荷を受けにくい構成としています。
上記のように、当社が保有する多くの要素技術の集積によりCASBEE A ランク工場としています。

構造設計主旨

本建物は大きな被害が予想される東海地震の想定震源域に立地しており、地震時における機能維持のために免震構造を採用しています。一方、施設内では精密加工を行うため、製品の精度確保のために微振動対策も必要となります。設計の初期段階から振動条件の設定・微振動予測・振動調査等を行い、MiC免震の採用と局所的な構造対策により、優れた微振動特性と免震性能を両立させた生産施設を実現しています。
構造計画的には、高い免震効果を発揮させるために高剛性な両方向ブレース構造を採用していますが、建屋外周部にブレースを配置することと、大梁をトラス梁とすることで20mグリッドの大空間を実現し、自由度の高い多層の生産空間を確保しています。
1階床梁のPCa化、鉄筋組み込みデッキの採用などにより、構造躯体の品質確保を行い、耐久性の高い建物を実現しています。

設備設計主旨

本計画では性能条件の全く異なる2つの生産エリアに対して、各々の施主ニーズを分析し、より柔軟に対応できるような空調方式を構築しています。
1階の精密組立エリアは旋盤作業等によるオイルミストが多量に生じるエリアですが、天井高さを極力高くして熱溜りを設けたうえで、下部吹出し上部排気によるディプレースメント空調を行うことによりミストの効率的な排出を試みています。2階の精密組立エリア(クリーンルーム)は清浄度クラス100,000をベースとしつつ、局所的な清浄度アップの対応が一定のグリッドモジュール毎に可能となるようなフレキシブルなシステム計画を行っています。
また環境配慮・省エネ技術については以下のような要素手法を採用し、総合的な環境性能の向上を図っています。

  1. 衛生設備:雨水利用、高性能浄化槽(膜分離活性汚泥式)、節水器具
  2. 空調設備:クールピット、成型機械室の置換換気空調、クリーンルームのフレキシブル空調、大温度差冷水送水、ポンプの台数制御、全熱交換器
  3. 電気設備:高効率変圧器、高効率照明及び人感センサ照明
  4. 建築:自然換気スリットとトップライト、レイアウトによるクリーンルームの高断熱化

担当

大成建設担当者
総括 川股早苗、小林直明、田中幸嗣
建築設計 青木一郎、古市理
構造設計 島田博志、福本陽介
設備設計 後町智雄、濱田憲一
電気設計 後町智雄、内田元
避難計画 杉山満、林広明