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WORKS 2008

富士通ゼネラル空調技術棟

用途:研究所
所在地:神奈川県川崎市
延床面積:19,739.90m2
地上:5階

建築設計主旨

当建物は、エアコンを主力とする家電メーカーである富士通ゼネラルの新研究所棟です。設計コンペにより当社の設計が高く評価され入手に至りました。川崎本社と浜松事業所に分散していた空調機器の開発拠点を川崎本社に集約することで、開発力の強化と効率化を図ることが目的とされました。
階高の異なるフロア毎に必要な設備が設置可能なように、強固な構造とロングスパンを共存できる複合構造架構とし、国内最大級の空調試験設備の導入を可能としたほか、超大型執務スペース(メガフロア)の確保及びレイアウトフリー化を図っています。
南面低層部全面に設けられたカーテンウォールに呼応した吹き抜けを設け、明るく心地よい食堂を提供しアメニティの充実を図りました。
道路に面した南面の外観は、この建物の特徴である水平方向の長さを強調する横連窓と門型フレームにより構成し、正面性を意識しました。白と黒のツートンを基調としたカラーリングにより、外壁面の大きさをとプロポーションを整理し、一部にリブ付ALCを用いることで陰影に深みを与えています。前面道路との間に十分なオープンスペースを確保し、道路沿いには桜並木を、食堂の前庭にはカツラ並木を配置することで周辺環境に配慮しました。

構造設計主旨

当建物は、国内最大級の実験設備機器を配置するために、ロングスパンが要求されました。一般的には鉄骨造の架構となりますが、コストと仕上を考慮し、柱を鉄筋コンクリート造、梁を鉄骨造、柱梁接合部に鋼製の鞘管を用いた複合構造を適用しています。複合構造を採用することにより、19.6m×73.6mの無柱空間を実現しています。
また工期短縮を図るために、仮設柱であるH型鋼(H-250x250)を鞘管(柱梁交差)部分に貫通させました。上下ダイヤフラムに固定することで柱コンクリート打設前に上部架構を自立させて構築することが可能となりました。この鞘管自立工法を用いることにより、複合構造においても、屏風建て方式で建て逃げ工法を可能としています。
基礎は、場所打ちコンクリート杭の地震時における杭頭部の損傷を低減する、FT-PILE工法(大成式杭頭半剛接合工法)を採用しました。杭・基礎接合面の回転変形性能を向上させることにより、基礎部分の安全性の向上と基礎構造のスリム化が可能となりました。

設備設計主旨

本建物は、空調機の研究開発新棟として、また商談のための会議室、さらには空調実機が設置・運転している状況が見えるショールームとして位置付けられています。このような主旨により、空調機はクライアント支給品となっており、あらゆるタイプの機種を部屋用途ごとに散りばめて設置するよう計画しました。また屋上や各階バルコニーには空調屋外機の据え替えが容易に行えるよう建築、設備的な配慮を行い、配管用のスペースも各所に用意しました。
このほか空調機に対して、あらゆる条件での運転特性を確認するため、周波数変換装置を実装し、実験に必要な各種電圧に対応可能な配電計画としています。また執務空間では、OAフロアの他に天井面に等ピッチにてケーブルラックを敷設し、容易に電源及び通信の変更ができるフレキシブルな対応としています。さらに隣接して実験タワー棟の計画予定があったため、設備インフラの相互の展開が容易に行える配管ルートや設備容量についても考慮しています。

担当

大成建設担当者
建築設計 上甲孝、川北亮太郎、西田勇人
構造設計 篠崎洋三、古賀威信
設備設計 森山泰行、秋山聡、庄司研
電気設計 山中康弘、塚田文哉