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WORKS 2008

ナカニシフランクフルトオフィス

用途:事務所、物流倉庫
所在地:ドイツ フランクフルト エシュボン
延床面積:1,949.36m2
地上:2階

建築設計主旨

「大きな家のような自然環境に親和した快適な場をつくること。」

本計画は医療用回転機器メーカー「ナカニシ」のヨーロッパ拠点となる修理サービスセンターの新築計画です。敷地はフランクフルトから5キロほど離れた郊外に位置し、南側が広大な森林公園に面した緑豊かな立地です。計画にあたっては、下記の2つの固有性に着目し、郊外型オフィス建築をひとつの「大きな家」と捉えて提案しました。

  1. 土地の固有性/北側の大通りに対する街並感&南側の陽だまりと公園への親密な連続性
  2. 運用の固有性/男女混合による少人数の家族的な組織形態&集中と休憩のメリハリある働き方

具体的には、ランドスケープを含めたボリューム構成を吟味し、森林公園を借景とし、連続するように緩勾配で波寄せる緑面を造り、それをL型に囲うように二層の場を形成しています。各活動領域を断面方向にずらすことで、テラス、ピロティやハイサイドライトといった自然とのインターフェースを拡張させ、森から吹く涼風を取り込み、光/風/緑に包まれたリビングのような快適性を実現させています。

構造設計主旨

「建物の合理的な成り立ちを見せること。」

構造はRC造のスレンダーコラム(φ250㎜)と冷温水配管打込みのフラットスラブ(250㎜)を主架構とし、水平力負担の構造壁を眺望・通風の障害にならない南北方向に配することにより、全体的に透明感のある建物としています。
また構造躯体を現しにしたインテリアとすることで、架構美と素材感による合理的な美しさを追求しています。建物全体を1250㎜のモデュールを用い、柱と乾式壁の取り合いを真壁構成とすることで、素材の対比を明確にし、分節によるリズムが生活に適度な緊張を与えるよう配慮しています。倉庫はRC柱に現地の杉の集成材を架けて、ローコスト化を図っています。

設備設計主旨

「身体的に心地よい温熱環境をつくること。」

RC躯体現しを活かしてスラブに冷温水配管を打込み、床面と天井面からの輻射熱空調方式を採用しています。また地域性を考慮し、事務所などの居住域はラジエター式暖房器で補完しています。
躯体は外断熱で屋上緑化をするなど高断熱化を図ると共に、全ての開口部には中間期に風をとりこむ換気窓が設置されています。
南東ペリメーターはサッシ方立の内部側にガラスの框扉を設置することでエアフロー効果を促し、上部三角ダクトから熱気を除去しています。
エアフロー部は日射センサー付の縦ブラインドを内蔵し、1階事務室の南側にも日射センサー付の外付電動ブラインドを設置するなど、省エネルギーで快適な居住環境を実現させています。

担当

担当
基本設計・デザイン監修 大成建設株式会社一級建築士事務所
実施設計 Oeschner Architekten & Ingenieure
大成建設担当者
総括 下村真一
建築設計 古市理
ランドスケープ 蕪木伸一