HOME > WORKS2010 > 医学書院草加流通センター

WORKS 2010

医学書院草加流通センター

用途:自社用倉庫
所在地:埼玉県草加市
延床面積:2,931m2
地上:3階

建築設計主旨

医学専門書出版社である医学書院の全国に書籍を配送する拠点となる流通センターです。
敷地は埼玉県草加市の国道4号線に面し、ロードサイド型の雑多な街並みと共に住宅地が広がっています。また前面の国道は、歩行者の住宅地への主要動線となっています。
建築は、二つの要素によって構成されます。ひとつは、ストックする書籍を外的負荷から守る高性能な「シェルター」となる白いヴォリューム。もう一つは、書籍の検品や入出荷といったフローを担うワーカーの活動領域と国道との緩衝帯となる「フィルター」です。
高性能な「シェルター」は、水や熱、紫外線に対する対策を施し、また無窓空間となる労働環境に配慮し、主要縦動線となる北側階段室を、明るく、かつ重力換気により風が通り抜けるよう計画しています。
「フィルター」は、国道という厳しい環境に対し、汚れや風化を感じさせず、時と共に馴染んでいく素材として、1.還元焼成せっ器質タイル、2.溶融亜鉛めっき リン酸処理鋼板パネルを選定しました。それら素材を、緩衝帯となるよう列柱状に緩やかに繋ぎながら連続させることで、周辺住民に対して良好な歩行空間を形成させ、更には時の経過に対して持続性のあるロードサイド型の新たな景観の創出を目指しています

構造設計主旨

構造架構は鉄骨造のブレース付ラーメン構造です。平面形状がL型に配置され、荷捌きや自動倉庫の空間により吹抜け部が偏在することから、建物全体の剛性バランスを立体的に考慮したエキスパンション・ジョイントのない耐震構造としています。
10mの建物高さに3層を計画するため、部材配置計画と設備機器の配置や配管ルートを総合的に計画して、倉庫内の有効空間の確保を実現しました。
3階バルコニーの開放性を高めるため、外周隅柱をセットバックした架構としています。
基礎は杭基礎形式で、倉庫部は積載自由度と施工性を考慮してフラットスラブ形式を採用しました。

設備設計主旨

設備コンセプトは、「倉庫内の快適な作業性」、「外観デザインへの配慮」、「省エネルギー」をキーワードとしました。
倉庫エリアは、天井に極力設備機器を配置せず、室片側に自動風向調整機能付ノズル吹出口を設け、エアー搬送ファンと組み合わせることにより、倉庫内空間を最大限確保しつつ温度ムラの少ない作業環境を実現しています。また、北側階段室上部を棟屋とし、モーターダンパーを設置することで、中間期には1階から3階までの高さを利用した重力換気が行えるようにし、快適性と省エネルギーに配慮しています。
事務室は、全熱交換器や節水型器具、高効率照明、人感センサの採用により省エネルギーに配慮しています。
外構では、「フィルター」となる列柱のスリットにLED照明によるアップライトをし、タイルの素材感と列柱の構成を浮かび上がらせています。

担当

大成建設担当者
設計大成建設株式会社一級建築士事務所
総合監修 株式会社ブリリアントアーキテクツ
サイン計画 株式会社ノムラコムス
大成建設担当者
総括 芝山哲也
建築設計 椙山歩、出口亮
構造設計 塚田正紀、平尾明星
設備設計 中田義冶、阿久井晋
電気設計 中田義冶、若土幸喜