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WORKS 2011

あいおいニッセイ同和損保東京カスタマーセンタービル

用途:事務所、託児所
所在地:東京都板橋区
延床面積:8,246m2
地上:10階/塔屋:1階

建築設計主旨

板橋区に計画された、高いフレキシビリティを有するオフィスビルです。
執務空間の快適性に加えて、CASBEESランク認証の取得に代表される環境負荷低減技術の導入、免震構造・無停電設備等の採用による災害対策拠点を想定したBCP性能確保などの付加価値を備えた建築となっています。

外周部を化粧打放し高強度プレキャストコンクリート構造柱によるアウトフレーム構造体「T-shade」により覆い、窓周りに柱型のでない、家具レイアウトにおけるフレキシビリティの高い空間を実現しています。
先端を見付180ミリに絞ったシャープな構造体は深さ500ミリの連続する日射遮蔽庇として機能し、建物のPAL値200の高い環境性能と窓面開口率約80%の開放感を両立させています。

このプレキャストコンクリートの柱にアルミカーテンウォールの縦枠材を打ち込むことでアルミ部材断面を最小に抑え、合理的かつミニマムなデザインの窓周りを実現させています。
階段室を利用した全館自然換気・冬期相対湿度60%の空調性能確保、事業所内託児所の併設など、利用者の快適性・利便性を高める様々な取組みを行っています。

構造設計主旨

本建物では執務空間に可能な限り柱型を現さず、ファサード面の柱に縦ルーバーとしての機能を持たせるために板状の細柱とする空間計画を行っています。
ファサード面以外の二面の外壁およびコア部分に、十分な剛性と耐力を有する耐力壁を適切に配置することで、ねじれ剛性を高め、免震構造としての性能を最大限発揮させると同時に、ファサード面の細柱には高強度コンクリート(Fc=60N/mm2)を用いて、十分な軸耐力を保有させる計画としています。
長期および地震時に細柱に生じる曲げ応力を最小限とするために、細柱の板厚方向(面外方向)については梁を設けず、執務空間のロングスパンの梁は、軽量化を図るため鉄骨小梁とし、取り合い部をピンに近い支持形式としています。

免震方式は、弾性すべり支承と天然ゴム系積層ゴム支承を併用するシステムとし、摩擦による減衰効果とすべり発生後の長周期化を図っています。
また、上部架構が偏心しているため、免震層におけるすべり発生前後のどのタイミングにおいても偏心が極力少なくなるよう、かつ地震時の軸力の変動が少ない箇所にすべり支承が配置されるように免震支承の配置計画を行っています。

設備設計主旨

本建物では、自社ビルとしてのBCP、環境配慮、快適性の確保を設備計画のテーマとしました。
BCPとしては業務継続に欠かせない電源、上水を確保しています。
2回線受電による安定した電源を確保するとともに発電機を設け、災害時においても72時間は業務継続可能な対応、同様に上水も72時間以上供給可能な対応を行っています。

LED照明、昼光を利用した照明制御、および入退室管理と連動したCAVのインバーター制御を導入し、エネルギー低減を図っています。
太陽光発電設備や自然換気システムといった自然エネルギー利用も行っており、発電量の表示装置、自然換気推奨ランプを設置し、積極的な自然エネルギー利用を促しています。

また、利用者に女性の割合が多いため、外調機に電極式の蒸気加湿器を設置し、きめ細やかな湿度コントロールを可能としています。

担当

大成建設担当者
建築設計 井深誠、藤本鉄平、面高宏樹、川岡秀郎
構造設計 関清豪、新田隆雄、小林治男、西尾博人、櫻井佑美
設備設計 高木健、上田泰人
電気設計 高木健、加藤文都、坂下泰士