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WORKS 2012

大本山目白不動尊 淨心山願昭寺 五重塔

用途:寺院(五重塔)
所在地:大阪府富田林市
延床面積:33.17m2(初重柱間 面積)
総高さ:37.27m(相輪高さ:10.98m)
木造伝統工法、三手先の組み物、二軒

建築設計主旨

心に和みと安らぎをあたえる「五重塔」
願昭寺・五重塔は「木柄を太く、大地に根を張ったような逞しさ、青丹よしと歌われた丹塗り、緑青塗りを施した華やかさ、本瓦葺きの屋根の曲線の美しさ」を備えた平成の塔を目指し、地域のシンボルとして山並みの中腹に建立されました。
塔を仰ぎ見る人々に和みをあたえ、これからの長い歴史を感じさせます。
宮大工の卓越した技術、金物を極力使わない工法は、技術が最も進んでいた室町時代頃の技術を踏襲しています。
経験に裏打ちされた匠の技と最新の建築構造解析により、金物による補強を最小限に抑え、地震力や風に対する浮き上がりを検証し、法規制を遵守した地震と風に強い五重塔を建立しました。
塔の軸組を構成する柱、長押、丸桁、軒の組み物は丹塗り、蓮子窓は緑青塗り、木口は黄土塗りを施した塗装は、古来より伝えられた技法で顔料を膠で溶いた塗料を用い華やかさ、美しさを表現しています。
屋根瓦は隣接した奈良県産の土を用いた燻瓦で鬼瓦、軒の宇瓦、唐草瓦は古代に倣ったデザインを施し、軒の美しい曲線と、本瓦葺きの力強さ、安定感を見せています。
頂部の相輪は青銅鋳物に金箔で仕上げ華やかさと人々に慧眼な気持ちの中に「希望と和み」を与えています。

構造設計主旨

本五重塔は、中世の五重塔(醍醐寺(京都)、明王院(広島))をモデルとしており、構造形式も中世の側柱積重、四天柱長柱構造としています。
構造設計は、可能な限り金物等による木材の補強を行わない、木の耐力のみで自重はもとより地震、風に抵抗できることをコンセプトとしました。
本五重塔の主な耐震要素は、柱梁の貫による半剛接合ラーメン、落とし込み板壁、柱の傾斜復元力です。
これらの耐震要素を適切に評価し、限界耐力計算法、および振動解析を用いて耐震、耐風安全性を確認しています。

設備設計主旨

設備的には雨水排水工事のみですが、将来構想として火災時の消火対応のため、放水銃もしくは屋外消火栓の自主設置を行えるよう検討しています。

担当

大成建設担当者
建築設計 米原芳男、針谷誠
構造設計 森田仁彦、池間典一
設備設計 佐溝裕紀、鈴木真人
電気設計 佐溝裕紀、仁井本郁明