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WORKS 2012

介護老人保健施設 多生苑猪苗代

用途:介護老人保健施設
所在地:福島県耶麻郡猪苗代町
延床面積:6,685.17m2
地上:3階

建築設計主旨

磐梯山の麓、100床の介護老人保健施設の計画です。
既存の町立病院の裏手に位置し、要介護度の高い入居者にも対応可能なように全室個室のユニット型老人保健施設として、入居者にとっての居住性、介護スタッフにとっての効率性を追求した計画です。
全体として、フロアの移動の少ない2層の施設とすることで入居者が移動しやすい施設、6か所の光庭による廊下や食堂に光のあふれる明るい施設、会津地方の特産をイメージしたインテリアの温かみのある施設であることを目指しました。
また、6か所の光庭を通る廊下にはスタッフステーションやエレベーターを配置し、入居者の迷わない、わかりやすい施設となっています。
さらに、全ての廊下が行き止まりとなることがないような回遊性のある計画としてスタッフの移動にも配慮し、かつスタッフステーションからは光庭を介して各ユニットの食堂や廊下などの共用部が見渡せるようになっており、見守りやすい施設となっています。

構造設計主旨

約30mx120mという細長形状の中に吹抜けの中庭が多数存在する建物ですが、バランスよく耐震要素を配置させることで強度型の耐震安全性の高い建物としています。
また、居住エリア内には耐震壁を設けないよう計画し、将来的な配置替えに対応できるように配慮しています。
多雪地帯で屋上は特に長期荷重の影響を大きく受けるので、荷重の負担を小さくするよう小梁計画で調整し9.6mx9.1mグリッドの大梁の梁せいを抑えています。

周囲の地盤状況を考慮して、中間層にて支持させる摩擦杭(既製コンクリート杭)を採用しています。

設備設計主旨

寒冷地に適しており維持管理が容易であることと、居室での使い勝手のよさを考慮した設備としています。
空調設備は暖房時の効率を重視し、また、取扱いに専門の資格や講習が不要なガスヒートポンプ式パッケージエアコン方式を採用しています。
各居室の室温は、入居される方のご希望にあわせて、リモコンで個別に設定可能です。
給湯設備は機器の更新が容易なガス給湯器を複数台連結した熱源機を屋上に設置しています。
配管内には常に加熱された湯が循環する方式とし、各洗面器や浴槽へ給湯しています。
照明計画は療養室にシーリングライトを採用し、共同生活室にペンダントライトを設置するなど家庭的な雰囲気になるよう配慮しています。
ナースコールの廊下表示灯を室名サインに組み込みとし、インテリアデザインとの統一性を図っています。
主要な出入口にはITVカメラおよび電気錠を配置し、セキュリティを高めています。
積雪対策として、出入口および雨樋に電気式融雪ヒーターを設置しています。

インテリア設計主旨

茅葺屋根の葺き替えや農作業の相互扶助組織として、古くから会津の土地に根付いている「結」をコンセプトワードとしてインテリア空間に展開しています。
壁のベース色は茅葺屋根をイメージさせるナチュラル系とし、会津木綿の縞模様や、奥会津の編み組み細工をモチーフとしたアクセントを一部取り入れています。
またサインの一部には磐梯山と猪苗代湖のイメージを取り入れることで地域性を感じさせるインテリア空間としています。

担当

大成建設担当者
建築設計 松村正人、杉山貴則、村上雄一
構造設計 中川路勇、鈴木太一郎、中島和華子
設備設計 井上邦彦、吉田典彦、川島尚子
電気設計 井上邦彦、林幸広
インテリア 大野博文、小椋圭介