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WORKS 2013

大阪経済大学D館

用途:大学
所在地:大阪府大阪市東淀川区
延床面積:12,336.97m2
地上:8階

建築設計主旨

学生のアクティビティが表出し相互作用する空間
大阪経済大学は2012年の創立80周年記念事業としてキャンパス全体の再編に取り組んできました。
この「D館」は学生の学び舎である講義室主体のキャンパスにおけるシンボル棟です。
施設は、大講義室を有する低層棟と、ゼミ室、小講義室中心の高層棟をメイン動線である4層吹抜けのアトリウムで繋ぎ、学生が憩うスペースや移動する空間が立体的、平面的に見通せる計画としています。
また外部空間と繋がるピロティやテラス、空中テラスや階段状広場を設けて、様々な場所で学生同士のコミュニケーションが活性化し、授業時間外活動が学習効果に相互作用していくような施設づくりを目指しました。
キャンパスは公道を隔てて3つの敷地に分かれていましたが、この校舎によって各校地をつないで、2階レベルでの歩行者ネットワークを造り、キャンパスの一体性を高めています。
外観はキャンパス景観と調和するよう、既存の煉瓦調タイルを踏襲し、ストライプ基調の新しいデザインと白い列柱と庇によるガレリア回廊を景観デザインコードとしてキャンパスにおける新旧の建物群のつながりを持たせています。
外部の大階段は、学生を視覚的に上へと誘うと同時に、上下移動の多様化を図り、EVの負担を減らし、避難経路の複数化としているものです。
キャンパスプロムナード中央に跳ね出したピロティの上には空中テラスを設け、賑わいの多層化を図っています。

インテリアと融合したサイン
経済にマクロとミクロの視点があるように、サインデザインにおいてマクロとミクロの視点によって見え方や機能が異なる、立ち位置や距離によって機能や見え方が変わるデザインを試みています。
遠くから教室名や階数を認識出来る定点情報としてのサインは近寄るとドット柄のグラフィックへと変化して視界から緩やかに消え、遠くからは見えなかったサイズのサインに切り替わります。
また床にはフロアーカラーをちりばめてインテリアデザインと同化させ直感的に目的階を学生に感じさせるグラフィックとしています。

構造設計主旨

本建物は、高層棟と低層棟とその間にアトリウムを配置した構成です。
大教室の配置からロングスパンの向きが互いに直交し、また片方は高層棟であることから基本的な振動性状が異なります。
そこで建築デザイン上の特徴となっているストライプ状の外壁を耐震間柱として利用し、内部壁となる部分に座屈拘束ブレースを設置することで互いの剛性を調整し、アトリウムの吹抜け上部のスラブで接続して一体建物として構造計画しています。
エントランスとなっている高層棟の足元はCFTを利用して柱を抜き、ボリュームが空中に浮いているデザインを実現しています。
アトリウムの耐風梁は、軸力を伝達可能なボックス梁として高層棟と低層棟を繋いでいます。
プロムナードに大きく張り出した4階のテラスの下には、キャンパスの回廊デザインを踏襲する列柱を振動対策部材として利用しています。

設備設計主旨

講義室の空調方式は、将来の教室変更に対応しやすく、温熱環境を細やかに調整することが出来る、個別空調方式としています。
教室、廊下とも中間期の自然換気に配慮した建築計画とし、共用部は人だまりやラウンジのエリア空調として省エネを図っています。
教室を含めた全ての照明にLEDを採用し、教室は昼光センサー、トイレは人感センサーによる制御によって省エネルギーに配慮しています。
外装デザインのアクセントとなっている開口部のアルミのフィンは、自然光を取り込むリフレクターとして照明の負荷の低減に利用しています。

担当

大成建設担当者
建築設計 杉江大典、荒木宏之、輿石秀人、松本安正
構造設計 早部安弘、水谷太朗、福本陽介
設備設計 小畠忠久、鈴木真人
電気設計 武藤耕、西村英俊
ランドスケープ 藤澤亜子