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WORKS 2013

島嶼会館

用途:宿泊施設
所在地:東京都港区
延床面積:4,569.74m2
地上:6階

建築設計主旨

旧芝離宮恩賜庭園を西側に望む南北に細長い敷地に、87室の客室とそれを運営する関係団体事務室によって構成された施設です。
東日本大震災により直近にあった旧島嶼会館は閉鎖、程近い当敷地に移転しました。
主に伊豆諸島・小笠原諸島島民の方々の本土での宿泊拠点であり、島嶼地方の魅力の発信拠点として計画されました。
客室からの眺望を重視して、すべての部屋を芝離宮に向けて、日影規制の影響の少ない大きな曲線で構成した平面計画としています。
建物の高さも極力抑えることで、旧芝離宮からの見え方にも配慮しています。
1階はフロント・交流スペース等のパブリック部、2階に関係団体事務室等、3~5階客室、6階に展望浴場という、上層に行くほどプライベート性の高い構成としています。
東京タワーなどを背景に眼前に広がる、旧芝離宮の変わることがない豊かな緑を楽しむことができます。

構造設計主旨

構造計画にあたり、大地震時に対する対策(建築基準法の1.25倍の耐震強度)と短辺方向における建物剛性の確保を、ホテルの建築計画の厳しい制約の中で成立させることを重点課題としました。
敷地地盤は深さ20m付近まで非常に軟弱なシルト層となっているため、鋼板を巻いた杭により深さ26mの硬い砂層に建物を支持させています。
また、芝離宮側に配置されている外装ルーバーや手摺等の取付け方法にも安全性に配慮した設計をしています。

設備設計主旨

本施設は、伊豆諸島・小笠原諸島島民の方々の宿泊拠点であり、東日本大震災を受け災害時には建物利用者の安全を確保した滞在(72時間)可能な施設として計画しています。
m電力供給設備として、屋上発電機より対象室、対象機器への電力供給、津波を配慮し屋上設置とした増圧直結方式併用の受水タンクからの上水供給、上下水道破断を想定した雑用水槽および緊急汚水槽を設置しています。
また、雨水の再生水利用、省エネルギーに配慮したLED照明の導入、空調機方式の個別空調化(GHP、EHP併用)、給湯方式にはガス瞬間湯沸器を連結設置することにより負荷変動に追従した運転を行い、ベストミックスなエネルギーを採用する事によりランニングコストの削減を行っています。

インテリアデザイン主旨

内装計画は、島とまちをつなぐ交流の場として、階層・用途に応じたデザインとしています。
公共性の高い1階はフルハイトガラスとし海岸通りからも芝離宮の緑を垣間見ることが可能です。
プライベートな上層客室階は落ち着いた雰囲気としています。
また島民の多様なニーズに対応し、洋室や和室など多彩な客室で構成されています。
内装もナチュラルさを演出することで、旧芝離宮の緑を引き立たせています。
また、フロントカウンターやロビー壁面には、島嶼の建材である抗火石をはじめとして、島産材を活用しています。
交流スペースは一部2層吹き抜けとなっており、その壁面を約75,000分の1の島しょ地方の地図としています。
海の部分には、島民の方々や協力機関の方々が撮影された写真でモザイク状に構成しています。
東京都の島である小笠原諸島や南鳥島、沖ノ鳥島の距離感が実感できる大きさとなっています。

担当

担当
CM みずほ信託銀行株式会社
設計 大成建設株式会社一級建築士事務所
工事監理 株式会社相互設計事務所
大成建設担当者
建築設計・インテリア・FFE 松﨑秀樹、渕清和、藤悠子、野田博文
構造設計 井上慶一郎、宮原貴昭
設備設計 高木淳、庄司朋子
電気設計 高木淳、金子一登