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WORKS 2015

グランドメゾン白金の杜ザ・タワー

用途:集合住宅
所在地:東京都港区
延床面積:40,022.91m2
地下:1階/地上:30階

建築設計主旨

敷地は、江戸時代の下屋敷の区画が色濃く残る白金、その中で育まれた自然が現存する都内でも有数の緑豊かなエリアでもあります。
そのような緑のネットワークをこのプロジェクトでも継承することが、この計画の骨子となっています。
緑豊かな環境の確保と事業性の追求という観点から、板状ではなくタワーという形状が必然的に決まり、さらに駐車場を建物の中心に取り込むことで、建蔽率約27%、緑被率約43%を実現しています。
タワーマンションは、通常足元を公開空地とし一般開放する都市計画的な手法が多い中で、本計画は一般設計によるタワーマンションにすることで、ゲートやフェンスに守られた緑豊かな居住者のためのプライベートガーデンが誕生しました。

ダイナミックな吹抜けのグランドエントランスホールは、地下1階レベルのプライベートガーデンを見下ろす位置に存在し、黒御影石本磨きで設えた水盤のようなステージには船のアートを浮かばせています。
プライベートガーデンの緑や花が水面に反射しているかのように森の緑を取込み、森に浮遊するエントランスホールが居住者を迎えてくれます。
上層部は空に溶け込むブルーを基調としたコーナー部と白いグリッドデザインで軽快さを表現し、低層部は周囲の景観に配慮しアースカラーを基調としたデザインで、起伏のある立体的な緑と融合させています。

構造設計主旨

日本の住まいにおいて「揺れ」を抑えることは、居住者の安心を享受することに直結します。
耐圧盤下には地耐力の非常に大きい東京礫層が存在し、直接基礎を採用しています。
建物は、免震構造「ハイブリッドTASS構法」と鋼材ダンパーを建物の中心コア部に配置した制震間柱「LOYAL」を併せ持った「ハイブリッド免制震構造」を採用することにより、「地震」の揺れと「風」による揺れを最小限にとどめ、「地震後」の揺れを軽減させる新しい構造システムを実現しています。
極稀地震でも建物層間変形角を最小限に抑えることで、家具の転倒の危険性も限りなく小さくし、居住性の向上に貢献しています。
また、グランドエントランスホールの開放感を演出するためには、コーナー部分が重要なファクターとなるため、コーナー部に鉛直力のみを負担したビルトボックス柱を挿入することで、梁のクリープを抑制し、カーテンウォールの方立と同じピッチ、同じサイズとすることで、柱としての存在感を消し、視界が開け、開放感のあるエントランスホールを実現しています。

設備設計主旨

建物は免震構造に加え維持管理対策、劣化対策、高齢者対策、省エネルギー対策について国交省の認定基準に適合し、「長期優良住宅」の認定を受け、長寿命建築を目指すとともに、分譲購入者への住宅ローン減税や固定資産税等の軽減を可能としています(一部住戸を除く)。
維持管理対策として共用排水縦管を屋内共用廊下に集約したSIシステムの採用で住戸内に立ち入ることなく容易に更新を行うことが可能となっています。
また、共用部に配置された共用排水竪管を構造躯体に影響を与えることなく更新可能とした「やり取り継手」を採用することにより、将来用の予備スリーブを設けることなくコンパクトなメーターボックスを実現しています。

ランドスケープ設計主旨

敷地東側斜面に現存する高さ10mを超える豊かな樹林を、敷地高低差を開発基準に準拠した法面、擁壁で巧みに処理しながら保存しています。
さらに、新たに地上部のみで40%を超える緑化率の豊かな緑を創出することにより、白金という品格ある土地の記憶を継承し、生物多様性にも貢献するランドスケープを実現しています。
また、敷地内通路沿いやエントランス植栽の縁取りには、繊細に組まれた石積み、景石を配置し、植栽とも調和させることで、地域の景観を向上しています。
植栽設計においては、事業主である積水ハウスの「5本の樹」計画に基づき、自生種や在来種を基本とした約2万本の樹木を植栽することで、周辺のまとまった緑とのネットワークを強化し都市の生態系を充実することを目指しました。

担当

大成建設担当者
建築設計 黒岩光浩、村元徹、清水悟、大久津竜輝、森田英雄
構造設計 服部敦志、武田基、川岡千里、髙澤昌義、大野瞳
設備設計 豊原範之、大林茂
電気設計 豊原範之、古宇田真一
ランドスケープ 蕪木伸一、山下剛史、小池亘、宇高道雄