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WORKS 2015

京橋MIDビル

用途:事務所、店舗
所在地:東京都中央区
延床面積:11,916.03m2
地下:1階/地上:12階/塔屋:2階

建築設計主旨

中央区京橋、昭和通りと鍛冶橋通りが交わる宝町交差点に位置するマルチテナントビルです。
外観は、高い視認性を有する立地に相応しい印象となるように、黒い花崗岩を打込んだ高強度プレキャスト・コンクリートの構造体による彫の深いシャープな格子状フレームの意匠としています。
基準階はワンフロアが約770m2の整形なオフィスであり、アウトフレームの構造体とすることで室内に柱型が現れない整形無柱のフレキシビリティの高い空間を実現させています。
構造体の柱・梁そのものが日射を遮るボックス庇として機能するため、東南西の三面大開口による眺望を得つつ、高い日射遮蔽性(PAL値-32%)を備えた合理的な外装計画となっています。
各階の窓廻りには国内初となる外付けのアニドリックルーバー(太陽高度に依らずに均質な昼光を導入する固定式採光ルーバー)を自社にて開発・採用し、ビルの照明エネルギーの削減に寄与させています。
また、ビルを利用するワーカーの知的生産性向上に寄与する仕掛けとして、屋上にはランチや休憩等に加えミーティングにも利用可能な緑豊かなルーフテラスを計画、各階共用部には気分転換やインフォーマルなコミュニケーションを促す場としてリフレッシュコーナー兼給湯スペースを設けています。
各階の女性用トイレ内には壁面に緑化を行い、独立したパウダーコーナーを設置するなど、ワーカーの気分転換を図るきめ細やかな工夫が随所に仕掛けられています。

構造設計主旨

外郭ラーメンフレームは3.2mピッチに柱を配置し高い剛性を確保しています。
事務室内の無柱空間を構成するロングスパン梁は自重の軽減、将来的な設備配管のフレキシブル性を考慮して鉄骨トラス梁としています。
地下1階柱頭免震(錫入り積層ゴム支承、積層ゴム支承)を採用し、応答加速度を家具・什器が転倒しにくいレベルに抑えています。
基準階高4.5mで事務所部天井高2.95mを確保しつつも、仕上げの損傷や石の割れを防止するため、レベル2地震時の層間変形角を1/300以内に抑えています。
また、躯体への石打込みには精度が必要となるため柱、梁、柱梁接合部をPCa化し高い精度と施工性を向上させています。
基礎は杭基礎とし新設杭のみで設計を行っていますが、既存杭が基礎の耐震性能に寄与していることを検討の上残置し、再利用をしています。

設備設計主旨

本建物は次世代のスマートビルを目指して様々な環境配慮技術を取入れるとともに、BCP(事業継続計画)にも配慮した計画としています。
事務所部分は、当社開発の「次世代人検知センサ」の情報を活用し、照明・空調・換気を最適に制御しています。
昼光を積極的に室奥へ導入するため、外付採光ルーバー「T-Light Louver」を開発し、本建物に導入しています。
「T-Light Louver」は、特殊な曲面のルーバーを窓外に複数枚設置することで、太陽高度によらず室内へ広く昼光を導入することが可能です。
省エネ意識の向上を目的として、ビル管理者だけでなく入居者が自席のパソコンでエネルギー消費量の把握が可能な見える化システムを採用しています。
BCPにおいては、72時間対応のビル共用非常用発電機や異変電所2回線受電により電源の信頼性を向上させる計画としています。
在館者が3日間使用できる雑用水を受水槽に確保するとともに、下水道途絶時も館内の一部トイレが利用でき、3日分の汚水を貯留できる非常用汚水槽を設置しています。

担当

大成建設担当者
建築設計 井深誠、藤本鉄平、伊藤大輔、松村和昭、川岡秀郎、日野敦博
構造設計 新田隆雄、有山伸之、小林治男、櫻井佑美、長松結莉香
設備設計 熊谷智夫、梶山隆史、安藤直也
電気設計 熊谷智夫、小林徹也
設備計画 小林信郷、横井睦己、大木泰祐

社外受賞

2018年 第29回 電気設備学会賞 技術部門 施設奨励賞
2019年 第33回 空気調和・衛生工学会振興賞 技術振興賞
2019年 第7回 カーボンニュートラル賞 関東支部奨励賞