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WORKS 2015

UDトラックス本社ビル

用途:事務所
所在地:埼玉県上尾市
(高層棟)
延床面積:20,254.69m2
地上:10階
(低層棟)
延床面積:3,903.42m2
地上:3階

建築設計主旨

本計画は、創立80周年を迎えるUDトラックスの上尾工場内に新築する本社ビル及び付帯機能の整備計画であり、本社ビル(高層棟)とホール(低層棟)及び守衛所の3棟の構成となっています。
計画の目的は二つあり、一つ目は工場内外に分散配置を余儀なくされている様々な部署を一つの場所に統合し、部署部門を越えた「つながり」の創出を図ること、そして二つ目は災害時にも業務継続可能な環境を整えることでした。
外観は、低層建物が建ち並ぶ周辺環境に対して、圧迫感を低減し周囲に馴染むよう意識しています。
高層棟は1・2階部分のピロティ化や最上階のセットバックによりボリュームを軽快に見せると共に、白いPCa版とサッシによる彫の深い横連窓のファサードはシンプル且つ機能的、構造的な美しさを追求しています。
内部については、成型なオフィス空間に加え、「つながり」を創出する互い違いの吹抜けを持つコミュニケーションエリアの計画やブランドイメージを具現化したエントランスの実現など、本社ビルとしてのオフィスのあり方を追求しています。

構造設計主旨

高層棟は、快適で安全な本社ビルとして免震構造を採用しています。
架構形式は17.4mの無柱空間を実現するロングスパン鉄骨梁と耐震性に優れたCFT柱と組み合わせた純ラーメン架構としています。
ピロティやコミュニケーションエリアの丸柱は、仕上げを耐火塗料とすることで構造体と建築表現を一致させています。
免震形式は1階床下に支承を配置する「基礎免震」とし、長周期化と復元力の役割を担う天然ゴム系積層ゴム支承に弾性すべり支承とオイルダンパーを併用することで、中小地震から大地震までの幅広く建物の応答を制御しています。
低層棟は、大きな吹抜け空間を有するため、スパン方向はラーメン構造、桁行方向は外壁面を利用したブレース付ラーメン構造の鉄骨造としています。
両棟共に基礎形式は杭基礎で、地震時に杭の損傷を抑えるために、杭頭半剛接合構法(F・T・Pile構法)を採用しています。

設備設計主旨

本社ビルとしての基本的な機能を備えることに加えて、「省エネルギーと環境配慮」、「高い安全性の確保」、「高いメンテナンス性」をコンセプトとして設備計画を行っています。
全館にLED照明器具を採用し、事務室照明はT-ZoneSaverによる調光制御を行うなど各種の環境負荷低減技術を採用しています。
給水設備は上水と工水(便所洗浄水)の複合設備とし、事務室の空調設備はEHPとGHPを組合わせたハイブリッド方式としています。
事務室の照明やコンセントは非常用発電機によりバックアップがなされ、大規模災害時にも本社機能を維持しながら、従業員の安全と事業継続性を確保できるオフィスとしています。

インテリア設計主旨

ボルボグループの一員として高いブランド意識を持つUDトラックスの、「ブランディングを建築に体現したい」との想いにより、インテリアデザインチームの参画を求められました。
デザインにあたり心がけたのは、ブランドイメージを織り込みつつ、いかに建築空間の持つ魅力を引き出すかということです。
「つながり」を意識してつくられたコミュニケーションエリアには、より動きと変化をもたらすために、二つのエレメントを挿入しています。
一つ目は、階段脇に配したグラフィックウォールです。
階毎に変化するブランドカラーの壁面は、階段を上下する楽しみと、階の識別性を与えています。
ここには気楽な交流をもたらすためのイメージや、ブランドのメッセージワードがあしらわれています。
二つ目は、吹抜けに通した木のパネルです。
ずらしたことで2層毎に分断される吹抜け空間を、このパネルが視覚的に繋いでくれます。

また、トラックを展示出来るエントランスには、一見ランダムに見える床のラインに、初代トラックと最新トラックの、タイヤの太さとトレッド巾(前輪のタイヤ間寸法)が表現されており、開発の歴史を感じさせる仕掛けを埋め込んでいます。

担当

大成建設担当者
建築設計 安田孝、中野弥、傳寳知晃
構造設計 早部安弘、福本陽介、大野瞳
設備設計 豊原範之、砂賀浩之、有賀秀典
電気設計 豊原範之、山中康弘、小林徹也
インテリア 高橋洋介、吉田美香