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WORKS 2016

ザ・ガーデンズ西葛西

用途:集合住宅
所在地:東京都江戸川区
延床面積:32,955m2
地上:19階

建築設計主旨

子育てしやすい街として知られる江戸川区西葛西に建つ8,000m2超の広大な敷地に建つ、大規模分譲マンションの計画です。
住棟は、船堀街道に面した19階建の東棟、17階建の南棟に加え、広大なガーデンに面した10階建の中棟の3棟、358戸で構成されています。
ファサードは、圧迫感を軽減するため、雁行によるボリュームの分節を行い、新たな街のランドマークとなるべく、「重厚感ある列柱の基壇」「光の陰影をとらえるバルコニーパネル」「空に向かって伸びるマリオン」など、アースカラーのグラデーションで構成しています。
共用空間は、「フォーマル」「カジュアル」といった相反する二つの思想を融合した計画としています。
エントランスホールは、スクエアで2層吹き抜けの格調高いフォーマルな空間としています。
中央にデザイン照明とオブジェを配し、来訪者を迎えます。
隣接するエントランスラウンジからは水景が望め、ライブラリーとともに上質で落ち着いた大人の交流空間となっています。
中棟に抜けると一転、ガーデンデッキの両側にコミュニティサロンと、中央に立つ木が特徴的なキッズルームが、大きく開放できるガラス開口でつながっています。
広い縁側のようにゆるやかに内外をつなぐ空間は、ガーデンも含めて一体となるファミリーのためのカジュアルな交流空間を形成しています。
住戸では、キッチンを中心に視線と風が抜ける開放的なリビングと、子供の成長に合わせてフレキシブルに変化する個室をもつ、「つなぐプラン」を採用しています。

構造設計主旨

住宅に求められる「安全」「安心」を満足する構造計画としています。
架構形式は、短辺方向を1スパン連層耐力壁で構成する形式で、最も階数の高い東棟では塔状比4.8(高さ59m)という片廊下形式の高層板状建物としています。
この構造計画を成立させるため、厚さ20cm~最大90cmもの耐力壁を適材配置し、さらに高強度材料(柱の最大コンクリート強度Fc80、ピロティ柱の主筋にUSD685級鉄筋)を採用することで、耐震性能及び耐久性能の向上を実現しています。
敷地は、液状化層を有する第3種地盤でしたが、地盤の剛性を適切に評価し、高強度鉄筋を用いた場所打ちF.T.Pile構法を採用することで合理的な基礎計画としています。
構造計画的には住棟は4棟の分棟形式であるため、エキスパンションジョイントが多数存在しています。
その安全性の検証にも構造的配慮を行っています。
エキスパンションジョイント金物の変形追随はもとより、避難階段をもたない中棟についてはエキスパンションジョイントの更に下側にRC躯体を構築し、確実な避難経路の確保をしています。

設備設計主旨

「安全」「安心」「快適な住まい」を、設備計画のテーマとしています。
専有部は、高効率給湯器、ディスポーザー、浴室暖房乾燥機、温水式床暖房、24時間換気(シックハウス対策)、FTTHによる高速通信等を導入し快適性と高い環境性能を実現しています。
マンション高圧一括受電方式の利点を活かし、共用部の電力ピーク時にデマンドレスポンス信号を受けて共用部空調機を自動制御し、電力負荷の平準化並びに節電制御を行っています。
災害時のLCP対策として、約72時間運転可能な非常用発電機設備、10kWの太陽光発電、EV自動車からのV2H(Vehicle to Home)、リチウムイオン蓄電池などの非常電源の多様化により信頼性の高い非常電源計画としています。 また、消防用水を兼用した非常用水貯留槽を設置することにより、災害時の生活用水やトイレの洗浄水を確保しています。

ランドスケープ設計主旨

建築計画と一体となった外部空間を構成する為に、キッズルーム、キッチンスペースとつながる動的な空間、エントランス、ラウンジと連なる静的な空間、それらをつなぐとともに、静的な空間と動的な空間のバッファーとなる中間領域をゾーンとして設定しています。
石張り、玉砂利、芝生などの自然素材に触れながら子どもが裸足で駆け回る動的な空間は、敷地に高低差をつけ、子どもはよじ登ってつたい、また大人は腰掛けられる、使い方を制限しないウォールや低木の植え込みを設けることにより、子どもの目線の高さでダイナミックなシークエンスが現れる遊び場としています。
四季の変化を感じられる多様な植栽の中で、大人は遊び場の子どもを見守りながら憩い楽しむ空間とすることにより、遊び場と憩いの場が両立する空間としています。
エントランス、ラウンジ周りは、フォーマルな水景越しに、中間領域のボーダー状の緑と、さらにその奥の動的な空間を見せることにより、落ち着きのある格調高い空間としています。

担当

担当
設計 大成建設株式会社一級建築士事務所
内装デザイン監修

オフィスミキコ一級建築士事務所:遠藤幹子
(キッズスクエア、コミュニティサロン)
株式会社メック・デザイン・インターナショナル
(ラウンジ・ライブラリー・スタディルーム)

大成建設担当者
建築設計 村元徹、三輪淳彦、山村周平
構造設計 服部敦志、中島徹、高橋智也、調浩朗、倉本真介
設備設計 小野田修二、川崎賢哉、三浦一利
電気設計 小野田修二、中井信雄
ランドスケープ 蕪木伸一、神田祐樹