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WORKS 2016

前澤化成熊谷第一工場押出加工棟

用途:工場(塩ビ製品押出加工)
所在地:埼玉県深谷市
延床面積:10,000.96m2
地上:3階

建築設計主旨

本計画は、埼玉県熊谷市で40年に亘り塩化ビニル製品を製造している前澤化成工業が、老朽化した施設の更新と生産能力向上を図る為に既存工場を建替えるものです。
施主は、徹底した省エネルギー・省メンテナンス性を追及しており、本計画においても、トップライト、重力差換気、クールチューブ、太陽光発電などのパッシブエネルギーを各部で用いることで省エネルギー性を高めています。
トップライトについては、光を多く取り入れるほど同時に熱も取り入れてしまうため、各室・各作業に求められる照度を検討して、必要最小限かつ的確な配置・形状を追求することで、効率的な採光を実現しています。
特に事務所廊下部分は、トップライト下部に光幕天井を設けることで、熱の直接的な侵入を防ぐとともに天井内が排気チャンバーの役割を果たして、トップライトからの熱負荷を積極的に外部に排出する構造となっており、高い照度や均斉度と熱負荷の低減を両立しています。
エントランス脇には、塩ビ管を利用して作った根鉢を水玉状に配置した、ポップでリズミカルなランドスケープを設けています。
本来、仕上げの内側や地面の下など人目に触れ難い場所に設置される塩ビ管を見せ場に用いることで、訪れる人に当工場の生産品をさりげなくアピールするとともに、従業員の皆様にも自社製品と建物へ愛着をもってもらえるよう配慮しています。

構造設計主旨

鉄骨造地上3階建てのオーソドックスな構造ですが、各部の積載荷重およびフォークリフトの運行による負荷が大きいため、土間部を含めて積載荷重範囲を確認したうえで最適な計画としています。
また、1階土間部については、土間下部の土壌の長期沈下が懸念されるため、表層改良を的確に行うことで、工場の操業への安定性を高めています。

設備設計主旨

当工場の生産品は、樹脂を炉で溶融して押し出す「押出加工」と呼ばれる製法が用いられているため、生産エリアにかなりの熱負荷が生じます。
これに対し、極力自然エネルギーによる空調を行うために地中にクールチューブを設け、熱負荷のあるところに的確に大風量の送風が行えるようにしています。
これにより、以前では夏場になると45℃近くに達していた炉の周りの作業環境を、外気同等にまで改善することが出来ました。
また、生産エリア上方に排気用開口を設けて煙突効果による排気を行っているため、夏季と冬季で有圧扇とシャッターを使い分けることで、季節に応じて適切な労働環境を得ることが可能となっています。
このクールチューブは、給排水トレンチも兼ねており、生産ラインのメンテナンス性向上にも一役買っています。

担当

大成建設担当者
建築設計 曽根奨、堀江晋一
構造設計 出雲洋治、矢島龍人
設備設計 渋谷大介、鈴木真吾
電気設計 渋谷大介、吉田幸夫