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WORKS 2016

大倉本館 (Okura House)

用途:物販店舗、飲食店舗、美容外科、美容院、診療所、事務所
所在地:東京都中央区
延床面積:7,908.12m2
地下:3階/地上:12階/塔屋:2階

建築設計主旨

伝統の継承・発展
旧大倉財閥の創業者、大倉喜八郎翁によって創立された大倉組商会の事務所として明治15(1882)年に初代の大倉本館がこの地で建設されました。
その後、大正、昭和、平成と時代の要請とともに発展を重ね建替等が行われ、本計画はその伝統ある大倉本館の4代目の建替にあたります。
世界屈指のラグジュアリーブランドが立ち並ぶプラチナコーナーと呼ばれる銀座二丁目の一角に建つ新しい大倉本館では、その伝統を継承し、将来にわたり銀座のシンボルとなり続けていくことを目指しました。
地下1階から地上3階までは、キーテナントであるフランスのジュエリー・ウォッチメゾン「カルティエ」が入居、また4階に日本料理の「銀座吉兆」、12階に「bills」といった飲食店、8~11階はオフィスフロア、その他診療所、美容サロンといった用途が入居し、銀座に新たなにぎわいを生む複合施設として2016年10月1日グランドオープンを迎えました。

フレキシブルなファサード:「アタッチメントスキン」
テナント専有部分の外装デザインは、フランス人建築家シルヴァン・デュビソン氏がファサードデザイナーとして基本計画を担当しました。
計画当初からモックアップ確認等を重ね、大成建設設計・施工チームとの協働を重ね実現に至りました。
カルティエの店舗にあたる1~3階部分の低層部は、パリ本店に見られるデザインをベースとしシックなブティックを体現しています。
一方他テナントの入居する4階以上は、カルティエのブランドイメージと日本意匠の融合を意識した障子を思わせるフレームと横ルーバーによるデザインになっています。
銀座地区におけるブランドファサードは、将来にわたり何度かリニューアルが行われることが想定されます。
テナントが入居した状態で外装の更新を行えることを念頭に、アルミカーテンウォールの止水ラインの外側にブラケットを出し外装材を支持する構造を持つ「アタッチメントスキン」を採用し、将来の更新に対しフレキシビリティを持つファサードを実現しています。
横ルーバーは日射遮蔽機能を持つとともに、一枚一枚にLED照明が組み込まれたライティング要素としても機能しています。
横ルーバーの下面には木目調塗装、上面にはカルティエレッドと呼ばれる真紅の塗装が施され、昼は太陽光の反射、夜はLEDの間接照明により異なる表情を演出し銀座の街を彩ります。

銀座を照らすアーク灯の復元
大倉喜八郎翁は電灯の普及を志し、明治15年この地に日本最初の電灯を点灯しました。
それは一般の人が見た初めての電気の光であり、当時一躍東京の名物となりました。
東日本大震災後やむなく撤去されたアーク灯ですが、新しい大倉本館のオープンにあたり建設当時の灯のデザインを忠実に再現し復活することができました。
オリジナルのアーク灯誕生から134年の歴史を経て銀座遺産「アーク灯」が復刻し、建物外壁に設置された当時の様子を今に伝えるアーク灯モニュメントと共に、この地で銀座の街を照らし歴史を未来に継承しています。

構造設計主旨

天井内におさまる新制震デバイス
東日本大震災や熊本地震など大きな地震が頻繁に起こり、耐震安全性の関心はますます高くなってきています。
制震構造を採用し「付加価値として安全性を高めたい」というビルオーナーの要望に対して、一般の制振装置によるシステムを用いると貸床面積を減らしてしまう欠点を有していました。
その課題に対して、テナント専有部に影響を出さない新たな制震装置の開発を行いました。
採用した制震デバイスは、大梁の端部に地震のエネルギーを吸収し揺れを低減する目的で極低降伏点鋼を取り付けたもので、天井内で納まり、テナントスペースに全く影響しない省スペース型の制震装置になります。
新たに開発した制震デバイスは、高いテナント集客力を誇る銀座にてテナントに対する構造的なメリットを創出することに寄与しています。

設備設計主旨

BCPを考慮し、キュービクル及び発電機を全て屋上にて計画しました。
発電機はガスタービン方式とし、燃料はA重油、連続運転時間は72時間としましたが、燃料貯蔵用の地下埋設タンクを計画するスペースが無く、屋上にキュービクル式タンクを設置しました。
停電時の保安負荷は、中央監視からのパターン選択式とし、どちらかを選択した場合においても、発電負荷に余裕があれば、別パターンの対象負荷も供給可能な設定としています。
また、7階テナントが不妊治療などを行う医療系テナントであることから、7階専用で外部からの発電機車送電ブレーカも計画し、機能維持を実現しました。
飲料水の確保として、高置タンク貯留分を非常用の水源として利用しています。
また、建築主との協議の中で、各所に点在する防災倉庫には、備蓄用ペットボトルと簡易トイレ等の防災備品を保管する計画としました。
8階のトイレを非常用トイレとして位置付け、全負荷を発電機によるバックアップとして計画しており、非常時には問題なく使用可能としました。
各テナントの換気設備は、発電機電源となっており、空調が機能しない場合でも換気を確保することが出来ます。
事務所階は、各階の空調機1台を保安電源対応としており、換気の他に冷暖房も機能する計画としました。

担当

担当
設計 大成建設株式会社一級建築士事務所
ファサードデザイン Sylvain Dubuisson
大成建設担当者
建築設計 高橋章夫、小林浩、村國健、濱田真介、川岡秀郎
構造設計 鈴木裕美、藤村太志郎、井之上太
設備設計 高木淳、上田泰史
電気設計 高木淳、内田元

社外受賞

2017年 2017年度 日本建築家協会優秀建築選(100選)
2017年 平成29年度 CFT構造賞