HOME > WORKS2018 > 尾道造船尾道造船所総合事務所

WORKS 2018

尾道造船尾道造船所総合事務所

用途:事務所
所在地:広島県尾道市
延床面積:8,168.23m2
地上:6階

建築設計主旨

海と坂と造船の街である尾道を代表する造船所のオフィス建替計画です。既存オフィスの老朽化を期に、よりクリエイティブなワークスタイルへの転身が求められました。敷地は国道によってオフィスと造船工場が分断されています。
リアルなものづくりの現場では、近接性とコミュニケーションが重要と考えました。配置計画では、国道に沿った位置にオフィスを構え、国道上空を渡る連絡通路を新設してオフィスと工場の近接性を高めました。プランニングでは、オフィスの工場側にガラス張りの日常動線を設け、オフィスと工場の双方から互いの顔の見える化を図っています。
部門ごとに配置された各階のワークスペースは、階ごとに床の形を変えたセンターボイドによって縦に繋がれており、入り組んだ階段を日々巡る度に他部門の様子を感じ取ることが出来ます。
よりクリエイティブなワークスタイルの実現に向けて、ココロとカラダの健やかさが知的生産性を高めるウェルネスオフィスの実践を試みました。ココロの健康を促すため、気分転換と前向きな思考を誘導する明るく開放的なワークスペースを構築しました。
コア部分に耐震要素を集約し、高性能ガラスに覆われた建物外周に細柱を配置することで、耐震性の確保と透明性の高いファサードを両立し、尾道ならではの自然環境とワークスペースをつないでいます。
また、自然景観を楽しむ回廊型プランや、アウターワークスペースである屋上庭園と各階のワークスペースを貫くセンターボイドの階段が、ワーカーの活動量向上につながる歩きを促し、カラダの健康をサポートします。
さらに、快適性を提供するため安定した光環境が得られる北側配置のワークスペース、センターボイドを利用した自然換気、天井レスによる空間ボリュームの拡大と快適な音環境を両立するストライプ天井吸音板を採用しています。

構造設計主旨

構造種別は鉄骨造とし、架構形式をブレースおよび耐震間柱付きラーメン構造としています。
北側配置のワークスペースは、敷地形状に呼応し、くの字に折れ曲がる延べ長さ約65m、奥行11mの見通しの良い大空間であり、そのファサードは豊かな自然環境を執務空間に取り込むため透明性を高めることが求められました。
構造計画では、不整形な折れ曲がりから生じる建物全体の偏心率の改善と、ねじれ剛性に優れた耐震性能の高い構造架構の実現を目指して、コア部分の長辺方向に「耐震ブレース(シェイプアップブレース)」、短辺方向に「耐震間柱」を組み合わせた「くし型コア構造」を採用しました。
これにより、奥行11mの大空間の構築と、建物外周での細径円形鋼管柱(直径φ250mm)の採用が可能となり、柱の存在感を抑えた透明性の高いファサードづくりをサポートしています。
コミュニケーションを促すセンターボイドの鉄骨階段は、見通しを良くするためササラ桁(見付け高さ)を低く抑えた軽快なフォルムが求められました。ボックス形状の断面とすることで鉛直剛性を確保し、最長約11mの支点間距離に対しササラ桁300㎜を実現しています。さらに、踊り場に制振装置(TMD)を設けることで歩行時の床振動を抑え、快適な移動空間づくりに寄与しています。

設備設計主旨

建物のデザインに配慮しながら居住者の快適性を確保する設備システムとしています。
天井が高く、北側フルハイトガラスに面するワークスペースのペリメータ空調は、冬期のコールドドラフト対策として、床吹出し空調方式を採用しました。建物外周の細柱間に吹出し口および吸込み口を設けるシステムとすることで、ペリカウンターを設けず、外部への開放性をもたらすファサードの透明性を確保しながらコールドドラフトの処理を適切に行うことが可能です。
ワークスペースのインテリア空調は、コストパフォーマンスに優れた天井カセット型空調機を採用しました。ストライプ天井吸音板の開口上部300mmのレベルに空調機を設置することで、その存在を感じにくいインテリアデザインづくりをサポートしています。
照明設備には、執務者の在席状況を検知し、照明を1灯毎にきめ細かく調光制御する環境制御システム「T-Zone Saver」を採用しました。減光照度と調光スピードを適正に設定することで、照度の変化をほぼ意識することなく必要な部分にのみ必要な照度を供給できる計画としています。

担当

大成建設担当者
建築設計 杉江大典、関政晴、三浦有美子、輪湖大元
構造設計 渡辺征晃、渡邉祐一、天羽祥太
設備設計 梶山隆史、藤田協二、中村真弥
電気設計 梶山隆史、有馬京吾
Technology & Solution:
尾道造船所総合事務所