- 用途
- 水族館内屋外公園
- 所在地
- 香川県綾歌郡宇多津町
建築設計コンセプト
うみ そら くも かぜ
四国水族館拡張エリア「潮風の庭」に、瀬戸内のここにしかない景色を作ってほしいという依頼から始まったプロジェクトです。
依頼を受けた日の打ち合わせの場で描いたスケッチがほぼそのまま完成しています。
瀬戸内の海と空の中に入る事が出来る空に浮かぶ厚さ50㎜のステージは、発注者により「umi to sora」と名付けられました。
打ち合わせを重ねる中で、なにか優しいベンチを作れないかと新たな依頼を受け、二人で座ると距離が近くなる仕掛けのあるベンチを2つ置きました。
最後に、風により地面に起伏を作り出すことで「潮風の庭」を情景にしました。
フルデジタルによる「umi to sora」
「umi to sora」 は、ダクタルで製作しました。
躯体形状は、自由曲面シェルの構造解析・形状最適化をRhinocerosとGrasshopperによってデザインとディテールを検証しながら進めました。
構造解析用のFEMモデルをRhinoceros上の同ーモデルで管理する事で、構造性能を確保しながら極限の板厚を持つ断面形状を可能にしました。
運用されたばかりのBIMスタジオを利用し、原寸でのモデリングを行い、ここで作られた3Dデータから直接型枠を作成しダクタルを成型しました。
デジタル+アナログによる2つのベンチ
2つのベンチは、Rhinocerosでモデリングした基本モデルを、Blenderでゼリー状の属性を与えて左右に揺らし、そのある瞬間をキャプチャーし3Dプリントしました。
その3Dプリントを図面としてモデラーの手によって原寸のFRP造形を作成し、最終的には設計者が彫像して完成しました。
フルアナログによる地表の起伏
風によって出来た地表の起伏は、その場でドローイングを行うように設計者と造園業者の手により作られました。
構造設計コンセプト
超高強度繊維補強コンクリートと形状最適化による浮遊感のある曲面シェル構造
「umi to sora」において、薄い板要素による片持ち構造とするため、超高強度繊維補強コンクリート(ダクタル)を採用しました。躯体形状は、自由曲面シェルの構造解析・形状最適化をRhinocerosとGrasshopperによって決定しました。
形状検討用の3Dモデルと構造解析用のFEMモデルをRhinoceros上の同ーモデルで管理を行うことで、必要な構造性能を確保しながら板厚を最小限に抑える断面形状を可能にしました。
設備設計コンセプト
夕方から夜間にかけて、ステージ部の輪郭だけが強調されるような照明計画とするため、シミュレーションソフトを用いた曲面の照度分布解析や実機を用いた実験により器具、配置の検討を行いました。
調光・調色・タイマー操作が可能であり、時間帯や季節ごとの様々な雰囲気の演出に寄与します。
屋外かつ海岸沿いの厳しい環境に耐えられるよう、重耐塩仕様の器具選定を行いました。
担当
| 設計 | 大成建設株式会社一級建築士事務所 |
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| 大成建設担当者 | |
| 建築設計 | 尾畑剛 |
| 構造設計 | 渡辺征晃、濱上結樹 |
| 電気設計 | 宇田啓一郎 |
受賞
| 2024年 | 日本空間デザイン賞2024 公共施設・コミュニティー空間 Longlist(入選) |
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