- 用途
- 工場内事務所棟
- 所在地
- 北海道河西群芽室町
- 延床面積
- 755.27m2
- 階数
- 地上3階
建築設計コンセプト
十勝めむろ工場の新たな「顔」となる事務所棟
ヤスダファインテ株式会社十勝めむろ工場は、牛乳をはじめとした液体食品の運搬に用いられるタンクローリーや、食品の製造過程で用いられるステンレスタンクの製造工場です。今まで当社札幌支店設計施工にて工場を拡張してきました。今回、既存工場に渡り廊下棟を介して接続する事務所棟を計画しました。
一連の既存工場とボリューム感・色彩の調和を図りながら、デザインの差別化を図り工場の新しい「顔」を創出しました。ミニマルデザインのマッシブなボリュームに「ファインテ」の「F」字型にスリットをくりぬいたファサードとしアイデンティを表明しました。
ミニマルなディテールのデザイン
軒天井や垂直壁のスチールパネルとRC壁の取り合いは、要素を極限まで減らすようおさまりを工夫し、シャープな印象を与えています。
RC壁の仕上げであるハイブリットカラーコーテング(オシロックス)により、目地シール上から吹き付けることで、マッシブな表現を実現しました。
サッシ水切りは、フラットバーを採用し、建物の印象を引き締めています。
社員のアクティビティを感じる吹抜空間
メインエントランスは、3層吹抜けとなっており、本施設の象徴的空間となっています。上下階で社員の行き来する様子が見渡すことができます。工場現場職員や事務職員など多岐にわたる社員のコミュニケーションの誘発を期待しています。
ステンレス工場のアイデンティティを表現した内装
階段手摺にはステンレスメッシュを採用し、めむろ工場のステンレス工場としてのアイデンティティを表現しました。
十勝の大自然を享受するオープンテラス
3階の多目的ホールにはフルオープンできる吐出し窓を介したバルコニーがあり、ホールと一体利用が可能です。日頃は食堂として利用されており、眼前の日高山脈や十勝平野の十勝ブルーを日々感じながらリフレッシュできる、空間となっています。
構造設計コンセプト
計画の自由度を高めた堅牢性のある一連の工場の「顔」の創出
構造種別はRC造で計画し、階段廻りに耐震壁を集約して他をラーメン架構とすることで、空間のフレキシビリティを高めるとともに自由な外壁形状を可能としています。
構造種別に適したRC外壁とすることでファサードに重厚な印象を与えて既存工場との差別化を図り、一連の既存工場に新しい「顔」を創出しました。
3階多目的ホールの窓面の一部に鉄骨の細柱を採用することで、RCの堅牢性のある空間に開放感をもたらすよう配慮しています。
基礎は、経済性に配慮して独立基礎を採用するとともに、渡り廊下の基礎梁せいを小さくして基礎梁下に既存埋設配管を通すことで配管の盛替えをなくす計画としています。
設備設計コンセプト
統一感と機能性を両立した空間・環境デザイン
建物の顔となる面の外壁にはベントキャップ・設備機器を一切配置せず背面側に全て集約する事でF字型のファサードを際立たたせるようにしています。
3層吹き抜けエリアは温熱環境シミュレーションにて検証をする事で適切な空調換気計画を行いました。
照明の色温度は共用部:3000K、専有部:3500Kにて計画し外から見た際の統一感、温かみのある執務空間の創出を実現しました。
工場作業社員と事務社員の利用者が入り混じる動線は、建築計画で動線分離は行わず利用者毎にセキュリティグレードを変化させ、適切な個所にセキュリティエリアを設けシンプルな計画としました。
担当
設計 | 大成建設株式会社札幌支店一級建築士事務所 |
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建築設計 | 佐々逸人、西村浩一、前田清子 |
構造設計 | 池田祥子、船橋信吾、木村暢志 |
設備設計 | 山本進、藤間一憲、相馬俊也 |