WORKS 2025

東京エレクトロン九州 プロセス開発棟

TOKYO ELECTRON KYUSHU PROCESS DEVELOPMENT BUILDING

  • 南側外観

    南側外観:⽔平に積層する庇が伸びやかな表情をつくり開かれた工場を演出

  • 熊本県産小国杉を軒天に採用した庇が帯状に積層する外観

    熊本県産小国杉を軒天に採用した庇が帯状に積層する外観

  • 南側全景(夕景)

    南側全景(夕景):公道をまたいで上空通路が新棟と既存工場をつなぐ

  • 木の表情を照らす照明演出

    木の表情を照らす照明演出

  • エントランスホール

    エントランスホール:阿蘇の山並みを県産材木ルーバーで表現したエントランス空間

  • 協創スペース

    協創スペース:顧客やパートナー企業とのコラボレーションを活性化する協創空間

  • 事務室

    事務室:トップライトが点在する開放的なワンプレートオフィス

  • 熊本城石垣の武者返し形状のトップライトから自然光を取り込む

    熊本城石垣の武者返し形状のトップライトから自然光を取り込む

  • 補機室

    補機室:レイアウト変更に柔軟に対応するクリーンルーム階下の補機エリア

  • クリーンルーム

    クリーンルーム:大空間をロングスパンで構成した高性能クリーンルーム

用途
工場
所在地
熊本県合志市
延床面積
32,193.2m2
階数
地上4階

建築設計コンセプト

熊本の豊かな自然、歴史、環境を取り込み、イノベーションを加速させる次世代の開発拠点

成長を続ける半導体市場の需要拡大に対応するため、半導体製造装置を開発する東京エレクトロン九州の新たな開発拠点です。
熊本は古くから水の国と呼ばれ、雄大な自然と清流に恵まれた地域です。阿蘇山の森林資源と地層がもたらす豊富で高品質な地下水や、大学・高専等の教育機関が立地することにより、半導体産業の機運が近年ますます高まっています。
世界的な半導体関連企業が集う熊本の地で、この土地の自然・歴史・環境を体現する空間として、人を育み未来を作る原動力となる施設を目指しました。

水平に積層する庇が伸びやかな表情をつくる

建物は、公道を跨ぐ上空通路によって既存工場と直接接続しています。クリーンルーム同士を接続するクリーン通路を通じて既存工場との迅速な往来を可能とし、技術革新を加速させる計画としています。
外観は、積層する庇と伸びやかな上空通路が既存建物と新棟をつなぎ、大きく張り出した陰影深い庇が日射遮蔽機能を兼ねています。前面のアルミパネルと県産木材の軒天井による水平方向の連続する帯が従来型の工場とは異なる開かれた工場を演出しています。夜間には軒天が照らし出され、木の表情が地域に表出するとともに企業ブランドの価値向上に寄与しています。

高性能開発環境と開かれたワークプレイスを融合

施設の中核となるクリーンルームは広大な空間をロングスパンで構成し、上下階をフレキシブルに接続できる高性能な開発環境として構築しています。
事務・共用エリアは開かれた設えとし、地域性を随所に取り入れた空間としています。熊本らしさを演出したエントランス空間、社員の想像力をかきたてる設えを各所に施したオフィス空間、クリーンルームを見渡す見学ホール、顧客やパートナー企業とともに新たなアイデアを生み出すオープンイノベーション空間など「ひと」中心の創造的ワークプレイスを施設内に展開しています。

構造設計コンセプト

地震があっても事業継続が可能な、画期的な電子デバイス工場

上部構造はブレース付きラーメン架構とし、地震時の層間変形の抑制とともに、免震効果を高める計画としています。また、当社が開発した画期的な免震構法である、MiC免震※1を採用し、常時の微振動の抑制と大地震時の基礎からの入力加速度を低減するようにしています。
杭頭にはF.T.Pile構法※2を採用し、大地震時の杭頭の損傷を抑制するともにマットスラブへの地震時曲げ応力を低減させる計画としました。
また、嫌振エリアの微振動目標を達成するために、柱(CFT/コンクリート充填鋼管柱)間隔 、床(合成スラブ)、部材断面を過去の実績に基づいて計画し、振動測定により施主要求のクライテリアを満たすことを確認しました。

※1 MiC免震:当社が開発した高度な微振動制御が可能な画期的な免震構法です。電子デバイス工場や病院等の微振動制御が必要な施設を地震の被害からも守り、事業継続を可能にします。
(詳細:https://www.taisei-techsolu.jp/solution/ct_earthquake/mic_menshin_gaiyou.html
※2 F.T.Pile構法:杭頭接合部を半剛接合とすることで、杭基礎の耐震性能を高める技術です。地震に強い基礎構造をもつ建物となるほか、杭や基礎梁を合理化することで建設コストを低減し、さらに優れた施工性から工期の短縮にも有効です。

フレキシビリティーの高い大空間を実現

2階クリーンルームの上部にトラス梁を採用することで、約30mスパンの柱の少ない空間を実現しています。また、床にはCVスラブ※3を採用し、将来の設備更新に対してもフレキシビリティーの高い床仕様としています。

※3 CVスラブ:設備配管等を通すための孔(ボイド)を予め設けた床スラブです。

設備設計コンセプト

大空間クリーンルームの構築

大空間クリーンルーム(ISOクラス6)内の安定した製造環境を構築するため室内気流は層流としています。レタンの床吸込みに偏りが生じないように開口率の異なる2種類のフリーアクセスフロアパネルを気流シミュレーションによる確認の上、配置し、大空間クリーンルームの層流を実現しました。

補機室とクリーンルームの間に設備展開スペースを採用した、フレキシビリティーの高い工場

本施設の特徴として大風量の局所排気系統が多くあることから、大口径ダクトの交差が生じないように給気系統機械室と排気系統の機械室を東西に配置し階高の適正化に配慮しました。クリーンルームフロアと補機室フロアの間に設備展開スペースを確保(約4m)することで、客先機器への用力供給フレキシビリティーの向上を図ると同時に、装置の配管接続等の二次側工事の作業性を向上させ、フレキシブルな開発環境を構築しています。

省エネルギー

高効率ターボ冷凍機の採用、高温冷水系統の採用、冷熱源の冬季フリークーリングによる自然エネルギーの採用のほか、生産用冷却水排熱を外調機再熱・予熱に用いることで外気処理負荷削減を可能としています。大風量の局所排気導入をするための外気処理空調機は複数台に分割(N+1)、INV制御することで、省エネと冗長性を確保しています。

担当

設計 大成建設株式会社一級建築士事務所
大成建設担当者
建築設計 宮崎伊佐央、飯吉厚太、村井勇介、田淵隆⼀、曲帥帥、各務真⼸
構造設計 出雲洋治、大森慎司、山形有紀、髙橋香織
設備設計 鈴⽊真吾、八田良行
電気設計 鈴⽊真吾、近森真洋

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