NEWS 2023.10

T-LINKS

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概要

医療用医薬品の受託製造を行う太陽ファルマテック株式会社（以後、太陽ファルマテック社）の高槻工場は、JR高槻駅から徒歩3分に位置しています。この工場の敷地内に「T-LINKS」を開設しました。普段は社員向けの福利厚生施設として利用しますが、大規模災害発生時には、高槻市内に留まる帰宅困難者及び近隣住民に対し、本施設を一時避難所として提供します。

デザインのポイント

1.地域で災害が起きた際は行政機関及び近隣自治体との協定に基づき、連携して一時避難所として機能
2.健康経営を目的とした社員用の食堂やジム・浴室、プロバドミントン選手の奥原希望選手監修のアリーナを完備
3.エネルギー消費50％以上削減の結果、施設内の温度上昇を緩和したことで「ZEB Ready」認証取得

背景

「T-LINKS」は、社員への福利厚生に留まらず、「企業の地域貢献」も考慮した上で設計しました。高槻市では、災害に強い「強靱なまちづくり」を進めており、本施設は高槻市と連携し、災害発生時は市内の帰宅困難者と近隣住民を最大各100名を3日間受け入れます。一時避難所として安心安全に機能するよう水害を考慮した床レベルの設定や、開放性がありながらも地震に強い構造としています。施設内では温かい食事や浴場を用意するほか、エレベーターと通路はバリアフリー設計としました。さらに、庇屋根による日射軽減を図ったほか、潜在自然植生の蒸散効果などにより、エネルギー消費を50％以上削減し、「ZEB Ready」認証を取得しました。また、屋根の角度に配慮し、光害対策も施しました。外壁と周辺の建物の間に一定の間隔を確保し、スリットガラスを採用し透過性を高め、凹凸やレイヤー構成の陰影により、近隣住宅への圧迫感を抑える工夫をしました。

経緯とその成果

会話が生まれるカフェテリアやリフレッシュできる和室やテラスのほか、マシンジム、アリーナ、浴場などを設け、福利厚生施設としての環境を整えました。カフェテリアはランチやカフェ、ディナーでの利用が可能です。ランチは毎日300名ほど、ディナーは取引先との会食や社内懇親の場として週3回、平均約30名ほどに利用されています。マシンジムや、仮眠・休息スペースである和室は、多数の従業員に利用されています。終業後にマシンジムやアリーナでスポーツを楽しみ、入浴してから帰宅する社員も多数います。太陽ファルマテック社は、これまでに10回以上社内外に向けイベントを行い、交流の場として活用しています。以前はオンライン・拠点を分けて実施していた新入社員研修も本施設ができたことで、グループ全体の新入社員約70名全員対面で実施することができました。さらに高槻市危機管理室の職員を招き、近隣住民向けに、防災教室を実施し、地域の防災意識向上にも貢献しました。