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WORKS 2018

パスカル大分事務棟

用途:事務所(会議室)
所在地:大分県国東市
延床面積:181.67m2
地上:1階

建築設計主旨

「風景の中に佇む会議室を2室」が求められた建築スキームでした。
美しい中庭の真中に建物を配置し、遠景と近景の中にキャンバス(フレーム)を設けました。このフレームで切り取られた風景は様々な場所に様々な表情で現れてきます。
ガラスを透過して見えるだけでなく、ガラス面に反射して新たな風景をも生み出します。
水盤には光や自然が反射し、静なる建築に揺らぎ(動)が生まれます。はねだしスラブ下にはLED照明が設置されており、その光が水盤底に設置された反射板によりフレームを映し出します。
プレストレストスラブにより構造的な梁の存在は出さず、ピット内に設置した空調機や一部天井をチャンバーにすることで設備機器類を室内に見せないよう配慮しました。
建築の存在は極限にシンプルを目指し、外部と内部の境界を曖昧にすることを追求しました。
建築と自然が相対峙しながらも溶け込み高めあい、内部と外部をさらにつなぐ第3の空間を生み出すことを実現しようとした作品です。
建築の存在を「消す」のではなく「風景を創り出し、その風景の中に佇まう」建築を目指しました。

構造設計主旨

構造については、窓越しに見える緑を遮らないようにプレストレスト方式を採用し、24.5mの大スパンの梁のない薄いスラブを実現しました。
屋根面に塗布した断熱塗料は、室内の断熱性能を高めることは勿論ですが、薄い屋根スラブの太陽光の熱によるクラックを防止する役割も果たしています。
300mm厚の構造壁、200mm厚の床版でフレーム形状を構成し、空調機を設置するための地下ピットを利用して構造壁を地中深さ2m程度までとして構造的に安定させ、中央部にある壁と屋根スラブは縁を切った納まりとして偏心要素をなくしています。
また、きれいな壁面を実現するために足元が浮いているように見せる基礎部分の納まりを利用し、打継目地を見せない工夫を行いました。

設備設計主旨

建築設計のデザイン性と設備機能を合わせたカンファレンスルームとして、設備計画を構築しました。
建築構造壁フレームとガラススキンの表情を最大限生かすため、可能な限り設備機器類は隠蔽に配慮する計画としました。
空調換気設備類は、ピット内へ配置し床吹出し空調換気方式とすることで、屋外から通した室内空間の視野の中に空調機器が入らないよう考慮しました。
また、ピット内をチャンバーとし、ダクトワークは換気設備の一部のみ採用することで、設備コストの低減も図りました。空調機器ピットをダクトとして形成するため、建築設計と協議し十分な断熱設計を行っています。
ピットへは各所にマシンハッチを用意し、将来的にも容易な搬出入計画にも配慮しています。
電気設備においても、デザインコンセプトに合わせ、天井面には照明のみの配置としています。照明・空調スイッチについては、建築的にスイッチ類専用の小扉を設け、照明、空調、換気スイッチは収納して不可視化しました。コンセントは、巾木と一体化することで同化し、建築空間のデザインと調和させています。
エントランスの出入口はガラス扉であるため、照明制御を人感センサーによるON/OFFと、パントリーに切り替えスイッチを設けることにより、運用に柔軟な対応を行いました。
また、外観の水景の照明と合わせて、エントランス正面の窯変タイルの壁面を有機EL照明を用いて浮かび上がらせる工夫にも配慮しています。
カンファレンスルーム内のダウンライトは、中央部はグレアレスダウンライトを採用して器具の存在感をなくし、両サイドの壁側は天井懐と絵画への照射を考慮してユニバーサルダウンライトを計画しています。

担当

担当
設計 大成建設株式会社関西支店
構造設計 ラメラ設計
大成建設担当者
建築設計 平井浩之、寺元友紀
設備設計 根本昌徳、湯浅孝
電気設計 根本昌徳、入江俊介

社外受賞

2019年 日本空間デザイン賞2019 オフィス空間部門 金賞
2020年 2019年度 日本建築家協会優秀建築選(100選)