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WORKS 2019

大成建設技術センター 風のラボ

用途:風洞研究・実験施設
所在地:神奈川県横浜市戸塚区
延床面積:490.21m2
地上:2階

建築設計主旨

当社技術センター内に建つ風洞実験のための施設です。
大型の風洞実験装置を内包した高さ9m幅10m奥行41mの大空間を、CLT(木材を繊維方向が直行するように積層接着した構造用パネル材)単独による構造形式で実現しました。
近年、低炭素社会の実現および国内林業の活性化や健全な森林育成のため、国産木材の利用が促進され、「公共建築物等木材利用促進法」の施行により、住宅だけでなく事務所や商業施設といった中・大規模建築物の木造化も推進されています。
特にCLTは、建物の構造体としての法整備も整い、今後幅広い活用が期待されている材料です。
そこでCLTのさらなる汎用化、利用促進を進めるためにCLT単独構造として国内最大となる大空間を実現する構造システムとして「T-WOOD SPACE」を考案し、この実験棟に採用しました。
「T-WOOD SPACE」は、ヒンジ接合の3パネル架構を連結することで構造的に安定した基本ユニットで作られる空間で、基本ユニットをさらに連結することにより、最大で幅12m×高さ12mの断面形で自由な奥行きの大空間を作ることができます。
これにより、住宅等の小規模施設やホテル、集合住宅等の小部屋が集積する施設だけでなく、スポーツやギャラリー、中規模商業施設など多用途に展開することができ、CLT活用の可能性を広げます。
建物の内部は木肌をそのまま表し、自然光を間接的に取り入れることで、木の香りがする明るく健康的な環境を提供し、施工も短期間で省力化を図ることができるなどCLTの良さを最大限に引き出した構法による建物です。

構造設計主旨

大判CLT3枚による傾斜門型ユニットを奥行き方向に連続させ、それぞれのユニットを鋼製ロッドで連結することで、構造的に非常にシンプルな3ヒンジ架構を軸力抵抗系として成立させています。
シンプルで連続的な部材構成による構造架構は、そのまま建築の大きなデザイン要素となっています。
CLTは5層7プライ(t=210mm)で、国産杉材を採用しています。
架構に生じる水平力に対しては、短辺方向は3ヒンジ架構、長辺方向は幅2.45mのCLT壁のロッキング抵抗により抵抗します。
ロッキングにより生じる引張応力に対して、CLT端部にLSB(ラグスクリューボルト)を配置していますが、LSBはインナーボルト式とし、木部の割裂を生じさせずにボルトの降伏を先行させる靭性の高い接合部としています。
CLT部材間の接合部は、回転可能なディテールを採用しており、施工の省力化、省人化および短工期化が可能なプッシュアップ工法による施工が可能となっており、仮設建築への適用も期待できます。

プッシュアップ工法動画

※クリックすると動画が再生されます。
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設備設計主旨

大型風洞装置の実験性能を確保する空調・気流計画を意識しました。
木造CLT構造の機能美を生かすために設備ダクト・配管・配線は天井からの支持を行わない計画としています。
また、総合光解析システム「レンブラント」による空間デザイン照明設計を行い、CLT構造材を美しくライトアップ可能な照明設備計画としています。

担当

担当
設計 大成建設株式会社一級建築士事務所
大成建設担当者
建築設計 杉江大典、えき真介、三浦有美子
構造設計 島村高平、坂口裕美
設備設計 岩村卓嗣、深田昌代(前期)、三村渉(後期)
電気設計 岩村卓嗣、大櫃卓也

社外受賞

2020年 日本空間デザイン賞2020 オフィス空間グループ 入選
2020年 2020年度 日本建築家協会優秀建築選(100選)
2020年 ウッドデザイン賞2020 ソーシャルデザイン部門 建築・空間分野 入賞