WORKS 2021

栃木県総合運動公園東エリア(日環アリーナ栃木)

Tochigi Sports Park East Area(Nikkan Arena Tochigi)

  • 栃木県総合運動公園東エリア(日環アリーナ栃木)

    緑の丘の上に建つ、石塊を想起させる建物群

  • 栃木県総合運動公園東エリア(日環アリーナ栃木)

    地下レベルから2階までゆるやかにつながる交流の丘と建物全景

  • 栃木県総合運動公園東エリア(日環アリーナ栃木)

    中央エリアとゆるやかにつながる東エリア全景

  • 栃木県総合運動公園東エリア(日環アリーナ栃木)

    石塊を削り大谷石が表出した外装

  • 栃木県総合運動公園東エリア(日環アリーナ栃木)

    ガラス張りのドライランド・トレーニングルーム

  • 栃木県総合運動公園東エリア(日環アリーナ栃木)

    ライン状の照明・サインにおり躍動感のあるメインコリドー

  • 栃木県総合運動公園東エリア(日環アリーナ栃木)

    プロスポーツ開催時のメインアリーナ

  • 栃木県総合運動公園東エリア(日環アリーナ栃木)

    明るく開放的なサブアリーナ

  • 栃木県総合運動公園東エリア(日環アリーナ栃木)

    リズミカルな架構の屋内水泳場

  • 栃木県総合運動公園東エリア(日環アリーナ栃木)

    彫刻的なプール飛込台

用途
総合運動公園(観覧場)
所在地
栃木県宇都宮市
延床面積
38,524.27m2
階数
地上4階

建築設計コンセプト

まちに開かれた新たな居場所「交流の丘」

2022年に開催される栃木国体のためのアリーナと屋内水泳場を新たに整備するPFI事業です。敷地は栃木県総合運動公園の東端に位置し、住宅地が近接しています。公園全体のつながり、まちに開かれたスポーツを核とした新たな交流拠点づくりを目指しました。
公園中央エリアとの接点である地下通路のレベルまで地盤を掘り下げ、2階マロニエテラスまでを緩やかにつなぐ「交流の丘」をつくり、公園としての一体性を確保しました。メインアリーナ・サブアリーナ・屋内水泳場の3棟は「交流の丘」を中心に配置し、誰もが日常的に立ち寄りやすい施設を実現しています。また、各空間はガラス張りで大きく開くことで、多様な活動を発信するスポーツギャラリーとして、にぎわいある風景をつくり出しています。

大谷石採掘場を想起させる石塊の表現

3棟ボリュームから構成される外観は、栃木を象徴する大谷石採掘場をイメージした石塊の表現としました。PC版は日光杉から転写した樹脂型枠を用いることで有機的な表情を創出しています。外壁頂部や下端は金属見切を用いない納まりとし、軒天は風合いある特殊塗装を施すことで、質感や塊感を感じられるデザインを追求しました。彫りこんだ凹部には実際に大谷石を使用していますが、中高層の外壁使用は全国的にも例がないため、耐久性確保と脱落防止のための表面保護・裏面処理・工法について、実験と検討を重ねた上で決定しました。

外観デザインとの調和とスポーツ施設らしいインテリア

3棟をつなぐ1階メインコリドーの内観は、スポーツ施設としての躍動感や力強い外観からの連続性を意識しました。伝統的な鹿沼組子の幾何学模様をもとに、照明と床面サインを斜めのライン状に設け、スポーツ施設らしい動きのあるデザインとしました。壁面のコンクリートは一部ウォータージェットで削り出すことで、外観の石塊と調和する力強い表情を醸し出しています。

地域の魅力を発信

利用者のアクティビティが集中する箇所に大谷石・芦野石・日光杉などの多様な県産材を散りばめ、栃木県の魅力を広く発信しています。この施設が地域の魅力を育み、多様な楽しみを提供する場として、新たな県民の居場所・スポーツ交流拠点となることを期待しています。

構造設計コンセプト

メインアリーナ・サブアリーナ・屋内水泳場の3棟で構成されるボリュームを、共有空間「メインコリドー」で繋ぎ、施設全体の機能性と連携性を高めている空間構成であるため、1階部分は構造的にもエキスパンションジョイントを設けず、全体を一体として計画としました。2階レベルまでの主フレームは鉄筋コンクリート造を主体とし、メインコリドー部は鉄骨梁を用いることで約18mの無柱空間を実現しています。メインアリーナおよび屋内水泳場のスタンド架構は、鉄筋コンクリート造により構成し、客席数の少ないサブアリーナは鉄骨造としました。それぞれ耐震壁や耐震ブレースをバランス良く配置し、棟毎に耐震性を確保しています。大空間となる各棟の大屋根架構は、メインアリーナおよび屋内水泳場では、一方向にトラス架構を配置し、サブアリーナでは県産材による格子状天井のグリッドに合わせる形で、2方向の格子トラス架構を採用しました。白を基調とした空間となる屋内水泳場は、50mプール上部に膜天井が配置されるため、膜天井や照明などが設置される部位のトラスは鋼材で構成し、膜天井が折り上げられ客席上部にあらわになるトラス下弦材には構造用スパイラルロープを採用しました。ケーブル併用トラス架構とすることで、空間に軽快感と緊張感を与え、観戦環境の向上を目指しました。

設備設計コンセプト

スポーツ拠点として、トップレベルのスポーツイベントなど様々な競技に対応できる計画としています。多様なイベントへの柔軟に対応するための電気設備として、シーンに合わせて明るさを調整できる照明システムを採用しました。機械設備はドラフトのない置換空調をや在室人員に合わせた外気導入量制御などを採用しました。また、地球環境への負荷を可能な限り低減するため、自然エネルギーの効率的利用と省エネルギー化、省資源化等により、ライフサイクルコスト及びライフサイクルCO2の削減を目指しました。「T-Green BEMS Lite」の採用により、利用者の視点に立ったわかりやすいエネルギー見える化を実現しました。

担当

担当
設計 梓設計・大成建設・安藤設計設計共同企業体
監理 梓設計・安藤設計工事監理共同企業体
サイン計画 株式会社KMD
照明デザイン LIGHTDESIGN INC.
ランドスケープデザイン ソラ・アソシエイツ
大成建設担当者
建築設計 川野久雄、伊藤真樹、飯田雄介、涌井匠、松岡弘樹
構造設計 島村高平、寺嶋知宏、松島成明、中島崇裕、調浩朗、杉山雄亮、森光哉、森田有貴
設備設計 久保田祥彰、伊藤肇、矢田達也
電気設計 久保田祥彰、西村英俊
環境 鈴木菜々子

受賞

2023年 日本建築学会 作品選集新人賞
2023年 照明施設賞
2023年 日本建築協会 青年技術者顕彰(構造部門)
2023年 日本コンクリート工学会賞 作品賞
2022年 Prix Versailles 2022 Special prize Interior

SEARCH