WORKS 2022

五島リトリートray

GOTO RETREAT ray

  • 南西側全景:手前の鐙瀬海岸と奥の鬼岳に正対するようにホテルが配置されている

    南西側全景:手前の鐙瀬海岸と奥の鬼岳に正対するようにホテルが配置されている

  • アプローチ:地域の植生によって彩られたアプローチ 撮影:ナカサ&パートナーズ

    アプローチ:地域の植生によって彩られたアプローチ
    撮影:ナカサ&パートナーズ

  • 南側外観:重厚感ある壁柱と2階テラスによって、全面ガラスのファサードに深い陰影を落としている。シンプルな構成であるものの、屋根と壁柱の接合部や壁柱のレリーフなどのディテールにより、ファサードの表情を特徴づけている 撮影:ナカサ&パートナーズ

    南側外観:重厚感ある壁柱と2階テラスによって、全面ガラスのファサードに深い陰影を落としている。シンプルな構成であるものの、屋根と壁柱の接合部や壁柱のレリーフなどのディテールにより、ファサードの表情を特徴づけている
    撮影:ナカサ&パートナーズ

  • エントランス水盤:水面には空にある雲が映り込み、反射した光の揺らぎがキャノピーの軒天上に映り込む 撮影:ナカサ&パートナーズ

    エントランス水盤:水面には空にある雲が映り込み、反射した光の揺らぎがキャノピーの軒天上に映り込む
    撮影:ナカサ&パートナーズ

  • ロビー全景:ロビーには、壁と天井に特殊コーティングを施したアルミパネルを貼り、外の景色をぼんやりと映し込み、ロビーの中まで水平線を引き込んできている。ロビー中央のテーブルにも景色を移し込む仕掛けが施してある 撮影:ナカサ&パートナーズ

    ロビー全景:ロビーには、壁と天井に特殊コーティングを施したアルミパネルを貼り、外の景色をぼんやりと映し込み、ロビーの中まで水平線を引き込んできている。ロビー中央のテーブルにも景色を移し込む仕掛けが施してある
    撮影:ナカサ&パートナーズ

  • ロビーレセプション:五島の歴史の暗喩としてステンドグラスとアーチ形状の窓が使われている 撮影:ナカサ&パートナーズ

    ロビーレセプション:五島の歴史の暗喩としてステンドグラスとアーチ形状の窓が使われている
    撮影:ナカサ&パートナーズ

  • 北側外観:アプローチの先に海が見通せる、レストランの南は鐙瀬海岸、北は鬼岳へと視界が抜ける配置としている 撮影:ナカサ&パートナーズ

    北側外観:アプローチの先に海が見通せる、レストランの南は鐙瀬海岸、北は鬼岳へと視界が抜ける配置としている
    撮影:ナカサ&パートナーズ

  • レストラン:北側には鬼岳、南側には鐙瀬海岸の景色が広がる 撮影:ナカサ&パートナーズ

    レストラン:北側には鬼岳、南側には鐙瀬海岸の景色が広がる
    撮影:ナカサ&パートナーズ

  • 客室:窓際の壁に鏡を貼ることで外に広がる水平線や景色を室内に取り込んでいる。ステンドグラスやクラシックな家具を配して、五島の歴史や文化を感じられる空間としている 撮影:ナカサ&パートナーズ

    客室:窓際の壁に鏡を貼ることで外に広がる水平線や景色を室内に取り込んでいる。ステンドグラスやクラシックな家具を配して、五島の歴史や文化を感じられる空間としている
    撮影:ナカサ&パートナーズ

  • 1階客室露天風呂:客室には全て露天風呂が配してある。1階は水盤の中に浮かぶような露天風呂となっている 撮影:ナカサ&パートナーズ

    1階客室露天風呂:客室には全て露天風呂が配してある。1階は水盤の中に浮かぶような露天風呂となっている
    撮影:ナカサ&パートナーズ

用途
ホテル
所在地
長崎県五島市
延床面積
2,839.69m2
階数
地上3階

建築設計コンセプト

事業背景

事業主は、長崎県のマグロ養殖事業をはじめ産業活性化を図り、地方創生に積極的に取り組んでいます。当ホテルの事業を通して、五島市の鐙瀬園地再整備計画である隣地のビジターセンター(五島市)、鐙瀬海岸の遊歩道の整備とも連携することで、地方創生の取り組みの一環として、五島市の観光事業創生にも貢献しています。
ホテル運営受託会社である温故知新は、地元創生電力にて施設の全電力を賄い、プラごみゼロを目指して、客室のアメニティは、すべて木製のものを利用したり、客室サービスの水もペットボトルではなく、水差しにて提供することで、環境への配慮をおこなっています。提供する食事も地場産の食材を利用することで、島(地元)へ寄り添うことでの運営を目指しています。

敷地のポテンシャルを最大限に生かす

敷地は日本の西の果ての島、五島列島に位置し、西海国立公園の一部となっています。目の前には鬼岳火山から流れ出た溶岩でできた海岸線と碧く美しい海の水平線が広がっています。この五島の雄大な自然のポテンシャルを最大限に生かし、どの空間にいても、海と山に囲まれた五島の自然の豊かさと時の移ろいを、感じられるように建物を配置しました。
客室は、7.4mのワイドスパン、2.5mのフルハイトサッシを採用、全室オーシャンビュー、露天風呂テラス付きとなっています。ロビーは、敷地の高低差を利用して海が見渡せる2階へ、レストランは、海も山も感じられるロビー吹抜に面した3階へ配置しました。

風景、背景へ馴染ませる

建物と敷地全体で、国立公園の雄大な自然風景と島の隠れキリシタンという歴史的背景に馴染ませる佇まいとしています。
外装は、溶岩を連想させるゴツゴツしたテクスチャーの吹付塗装、アースカラーを採用しています。工事中に敷地から出てきた溶岩石を外構や風除室のオブジェ、客室備品などに活用し、ホテル来訪者に鐙瀬らしさを感じてもらえるようにしています。
また、教会建築の暗喩的表現としてアーチ形状の窓やステンドグラスを取り入れています。

風景、景色を切り取る

「The VIEW/フレーミング」をインテリアコンセプトとし、海の景色を切り取るロビーカーテンウォールの門型フレーム、客用廊下のアプローチシーンを切り取る連続したロの字フレームにより、特徴的な空間、シーンを造り出しています。

風景、光景を映し込む

水面や鏡に五島の雲や光、時の移ろいを映し込み、光景の広がりと反射した光の揺らぎが様々なシーンを生み出すことを意図し、エントランス水盤、1階客室水盤露天風呂、海を映し込む壁面一杯の鏡、空と海を映し込む鈍く光るロビー・テラスのアルミパネルなど、様々な場所に映し込む素材を仕掛けています。

構造設計コンセプト

客室間や外周、BOH(共用スペース)の壁を耐震壁とし、剛性や耐力を十分に確保した強度型の架構とすることで、二次部材の損傷低減を図りました。
偏平柱および偏平梁、壁梁とすることで、客室に柱型や梁型が極力現れない架構としています。
海岸から近く、準塩害環境に位置するため、所定のコンクリート強度や鉄筋のかぶり厚を確保することで、躯体の耐久性に考慮しました。

設備設計コンセプト

海岸に近い立地であるため、外部設備機器は塩害に配慮した計画とするとともに、ゲストの視線を考慮した配置計画としています。国立公園エリアであるため、外構照明は光害に配慮するとともに、ゲストの安全性及びリゾートホテルとしての雰囲気演出を考慮した計画としています。また省エネに配慮するとともに、ホテルの快適性およびデザインに配慮した設備計画としました。

ランドスケープコンセプト

西海国立公園に含まれる五島列島は、氷期に大陸と繋がりその後対馬暖流が流入した歴史から、亜熱帯性の豊かな植物相に恵まれた島です。文化的にもキリシタン信仰に関わる教会群があり祈りの島といわれる所以となっています。
計画地は、福江島の象徴でもある鬼岳とその溶岩流が海に流れ込んでできた鐙瀬溶岩海岸の間に位置しており、海から陸へと連続した鐙瀬固有の自然再生をコンセプトとしました。
敷地中央に配置されたホテルを中心として、ホテルから内陸側である敷地入り口からホテルエントランスまでの進入路には鐙瀬海岸特有の植物であるハマヒルガオやダルマギク、キリスト教の植物でもある白いバラとしてテリハノイバラといった地域在来の植物で年間を通して花が咲く自然の庭を創出しました。
ホテルから海側に生育していた地域の代表的な樹種であるヤブツバキをエントランス側に移植し、既存林と連続する形で同じ樹種構成の生垣植栽を行うことで周辺景観と調和したランドスケープとしています。

担当

担当
デザインアーキテクト 株式会社アーキヴィジョン広谷スタジオ
内装設計 橋本夕紀夫デザインスタジオ
開発設計 都市企画センター株式会社
設計 大成建設株式会社一級建築士事務所
大成建設担当者
建築設計 高橋秀秋、金子由里子、押川快(後期)
構造設計 中島徹、末木達也、佐野直哉、中島崇裕(後期)
設備設計 渡辺睦典、吉田三香(前期)、宮本敬介(後期)、渡辺菜美
電気設計 宮田大地(前期)、山下裕貴(前期)、西村英俊(後期)
音響 野島僚子
ランドスケープ 鈴木菜々子

受賞

2023年 日本建築家協会優秀建築選2023 100選
2023年 第8回 インテリアプランニングアワード2023 最優秀賞
2023年 日本空間デザイン賞2023 サービス・ホスピタリティー空間 入選
2023年 グッドデザイン賞

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