WORKS 2022

日本医科大学付属病院

Nippon Medical School Hospital

  • 北東側外観:斜面緑地を再生した緑豊かな公開空地

    北東側外観:斜面緑地を再生した緑豊かな公開空地

  • 南東側外観:外壁に縦リブを設けたエレガントなファサードデザイン

    南東側外観:外壁に縦リブを設けたエレガントなファサードデザイン

  • 北東側外観:つつじに彩られたバリアフリー動線

    北東側外観:つつじに彩られたバリアフリー動線

  • 北側外観:防災・救護拠点にもなる広々とした広場

    北側外観:防災・救護拠点にもなる広々とした広場

  • 地下2階 ホスピタルストリート:谷根千の和のテイストと親和するインテリア

    地下2階 ホスピタルストリート:谷根千の和のテイストと親和するインテリア

  • 地下2階 サブストリート:アクセントカラーによる快適で迷わない外来受付

    地下2階 サブストリート:アクセントカラーによる快適で迷わない外来受付

  • 6階 4床室:治癒力を高める色彩の快適な療養空間

    6階 4床室:治癒力を高める色彩の快適な療養空間

  • 10階 特別室フロア ラウンジ:特別室フロアのラグジュアリなラウンジ

    10階 特別室フロア ラウンジ:特別室フロアのラグジュアリなラウンジ

  • 10階 特別室:ハイクラスホテルの様な特別病室

    10階 特別室:ハイクラスホテルの様な特別病室

  • 南東側空撮:緑の軸をつなぎ地域に貢献する公開空地

    南東側空撮:緑の軸をつなぎ地域に貢献する公開空地

用途
病院
所在地
東京都文京区
延床面積
58,870.21m2
階数
地下5階、地上10階、塔屋1階

建築設計コンセプト

運営を継続しながら生まれ変わった緑豊かな都市型大学病院

創立130年を期に行われた建て替えプロジェクトです。敷地内に混在していた大学機能を敷地外に新築、移転した後、既存建物を使用しながら病院の診療を止めることなく3期に分けて解体と新築を繰り返し、およそ13年の歳月をかけて全面建て替えを行いました。高度な医療を提供する特定機能病院として必要な床面積を確保するため、総合設計制度許可、屋上緑化、バリアフリー認定等の容積緩和手法を活用し、基準容積率319.65%に対して75.14%(床面積にして約9,000m2)の容積緩和を受けています。

地域に根差した病院に相応しい外観

地域の歴史、文化、景観に調和し、ホスピタリティの高さを表現するホテルのような親しみやすく威圧感のない外観をコンセプトとし、親しみやすく豊かな緑と街に調和する色彩、窓などの開口部を小さくして外壁に縦リブを設けたヒューマンスケールで華美でないエレガントな表現、自然な風合いの素材とガラスを組み合わせた新しさと優しさの表現により、長きにわたり地域に根差してきた病院に相応しく周辺に馴染んだランドマークとなるデザインを目指しました。

構造設計コンセプト

敷地の高低差を活かした断面機能構成に対応して、ハイブリッドTASS+オイルダンパーの中間層免震システムを地下2階床下に配置し、鉄骨造上屋を支持しています。免震装置の積層ゴム支承と弾性すべり支承を適切に配置することで、平面的に工区分けされた1期、2期工事の各施工段階でも構造安全性を確保する工夫をしています。

設備設計コンセプト

既存建物を使用しながらの建て替え工事のため、途中の各フェーズにおいて病院運営に支障がないようインフラを維持する盛り替え計画を行いました。

BCP/安全性、高度先進医療

特別高圧の2回線受電(本線・予備線)を計画し、3日間分の燃料を備えた発電機、停電・瞬停対策として無停電電源装置を用意し、電力の安定供給を実現しています。また、都市ガスは耐震認定中圧管からの供給及び蓄熱槽による空調稼働、上水・雑用水は水槽にて3日間分の水を確保、耐震化済みの下水本管への排水・マンホールトイレ設置等により、あらゆる災害時にも高度先進医療を提供できるインフラを確保しました。

環境(省エネ・快適性)

蓄熱槽を利用した熱源の高効率運転、冷温水同時取出型の高効率ヒートポンプ給湯設備、病棟の外気処理のナイトモード運転等により病院機能を確保しつつ、省エネルギー化・ランニングコスト削減を実現しました。また、調理室には置換空調(天井換気システム)、盛付室にはソックダクトを採用し、良好な作業環境を提供しています。

インテリアデザインコンセプト

高度先進医療を担うモダンな都市型大学病院に、谷根千の雰囲気(和のテイスト)をとり込み、地域と親和するデザインとしました。病棟、中央診療、外来、アメニティ、スタッフの5つのゾーンごとに、デザインコンセプトを設定しそれぞれの空間に相応しいインテリアデザインとしました。

ランドスケープコンセプト

計画地は本郷台地の北東側の崖線に沿った部分に位置し、東西で約10mの高低差のある敷地です。その地形条件を活かし駐車場、駐輪場を地下化することで広大なオープンスペースを生み出し、元々塀で囲まれていた敷地外周を地域に開かれた緑豊かな憩いの場として再整備することで、人々の生活に寄り添う居心地の良い広場、歩行者空間を提供しています。
植栽計画は、地上部のみならず建物の屋上部や庇部にも積極的に緑化を行い、敷地面積に対して35%以上の緑化率を達成した重層的な緑地空間は地域の景観向上に寄与しています。在来種を主体とした72種、約11,000本の樹木による豊かな緑地は、隣接する根津神社や千駄木ふれあいの杜の緑とも連続する緑の軸を形成し、地域の自然再生や生態ネットワーク充実を図っています。
また、東側の崖線部には根津神社のツツジと呼応するつつじの丘、多種のサクラ等による四季の彩りを創出することにより、人々が親しみを持つ広場として地域の環境優化に多大に貢献しています。

担当

担当
基本設計 株式会社伊藤喜三郎建築研究所
実施設計 大成建設株式会社一級建築士事務所
工事監理 株式会社日建設計
大成建設担当者
建築設計 松村正人、恒川真一、日置敏雄、保久原功、青木一朗、伊藤昇、西宮浩司、尾畑徳彦、木野史朗、木下美佐子、西畑寛子、松浦有子、伊藤雅一、平原佳寿子
構造設計 中川路勇、池間典一、藤野宏道、寺島知宏
設備設計 福田浩、龍英夫、吉田典彦、田村健、嵐城太郎、鈴木庸平、今田茉莉奈
電気設計 福田浩、龍英夫、林幸広、水津沙織、桜井健二、星野顕、箭内伸司、藤間遼平
インテリアデザイン 大野博文、中根健、石川瑤子
ランドスケープ 蕪木伸一、山下剛史、小池亘、佐野剛仙、加瀬泰郎
法規 藤原稔、堀江和之
エンジニアリング 中田文夫、渡辺誠司、森川隆

受賞

2023年 第22回 屋上・壁面緑化技術コンクール 環境大臣賞
2022年 グッドデザイン賞

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