WORKS 2024

開成高等学校

Kaisei Gakuen High School Building

  • 南側外観

    南側外観:3階のベースフロアが表出するファサードは「摩擦ダンパーEXP.J」を採用し、1期工事と2期工事部分の境目を感じさせない一体感のあるデザイン

  • 正門

    正門:渡り廊下がゲートとなり生徒を迎え入れる

  • A棟テラス

    A棟テラス:学年をこえて縦横の濃いつながりを生むテラス

  • 大体育館

    大体育館:全校生徒が集える大空間はメガフレームを現し「質実剛健」を表現

  • 学生ホール

    学生ホール:学園の中心に配置、生徒の活動拠点となっている

  • 小ホール

    小ホール:授業、講演・コンサートなど多様な活動で利用できる

  • 図書館

    図書館:2~3階に配置。ベースフロアに接続し利便性を向上

  • 3階廊下

    3階廊下:円弧形状で回遊性を表現

  • しゃべれる学習スペース

    しゃべれる学習スペース:中高校舎の交差点であり、学生ホールを見下ろせる空間は生徒に人気の活動場所

  • 芝テラス

    芝テラス:お弁当・昼寝に活用される憩いの場

用途
高等学校
所在地
東京都荒川区
延床面積
19,289.57m2
階数
地下1階、地上6階、塔屋1階

建築設計コンセプト

開成の未来を創る

2021年に150周年を迎えた開成学園の高等学校校舎の建て替え計画です。
建学の精神である「質実剛健」「自主自律」「自由進取」を計画に取り入れ、高低差のある敷地の中、多様な空間を配置した計画としています。
伝統を重んじながら新しいものを積極的に取り入れた「開成の未来を創る」計画です。

3階分高低差のある敷地に回遊性もたらすベースフロアを中心とした計画

正門からグラウンドまで3層分の高低差のある敷地を活かし、3階に教員室や1年生の教室を配置しています。特別教室・図書館・学生ホール・上空通路により道路を隔てた中学校舎へと接続し、学園の主要施設すべてをひとまとめにするベースフロアが完成します。このフロアを中心に回遊性が生まれ、吹抜や階段により空間が繋がり、生徒が縦横無尽に活動することで開成らしい「縦横の濃いつながり」を建築計画で表現しています。

ベースフロアが表出し、学校の新たなゲート・シンボルとなるファサード

ベースフロアの一端を道灌山通り側に表出させるファサードとし、学校の新たなゲート・シンボルとなるデザインとしました。渡り廊下の性質上EXP.Jを設ける必要があるため、建物全体として耐震要素を適切に配置し挙動量を極力押さえることと、鉄骨梁の接続部分に摩擦ダンパーを組込むことで、 25mm以下の可動量のEXP.Jが目立たないファサードを実現しました。

生徒の自主的な活動の受け皿となる多様な「余白」

旧校舎には「余白」が各所にあり、自主的な活動の受け皿となっていた伝統を踏まえ、校舎の各所に北広場・南スペース・南廊下・テラスなどの用途を限定しない、生徒が自由に活動できる空間を配置しました。校舎全体で約6000m2の共用部と約2000m2のテラスを確保し、将来のニーズにも対応できる余白のある校舎は、開成の末来を創る礎となります。

構造設計コンセプト

ダイナミックな架構による開放的な空間

A棟では、33m×38mの体育館の上に教室を4層乗せるというダイナミックな構造を、大断面S梁による格子梁架構とSRC柱により実現しています。さらに、この架構を採用することで、ブレースの無い広い教室や開放的なテラスも実現しています。
B棟・C棟では、L型の平面形状の建物に耐力壁をバランスよく配置することで、SRC梁やプレストレス梁による大空間を実現させつつ、高い耐震性を確保しています。
本敷地は、高低差が大きく各棟とも偏土圧が作用するため、配置する耐震壁の剛性バランスに配慮し設計しています。

校舎の回遊性と連続したファサードを実現した構造デザイン

校舎の回遊性の向上と特徴的なファサードデザインを実現するため、できるだけEXP.Jが目立たないように設計を行っています。その実現のために、新たに開発した摩擦ダンパーの仕組みを用いた梁接合部を採用しています。

設備設計コンセプト

受変電設備はローリング工事を考慮し、1期工事のA棟屋上にメインとなる受変電設備を設け、2期工事のC棟屋上にサブ変電所を設けることで、最適な電力供給を行えるように考慮しています。
建物の外装と一体となった太陽光発電システムである「T-Green® Multi Solar」を建物南側の窓面に採用しています。シースルータイプのデザインを採用することで外装のデザイン性も重視しています。発電量は72.7W/(ガラス1枚)で合計66枚設置(合計4.8kW)しており、A棟3階EPS内にパワーコンディショナーを設置し、分電盤を通じて系統連系もしています。商用電力停電時には自立運転モードに切替わり、EPS内に設けたコンセントから電源供給することが可能です。相談コーナーに発電量表示モニターを設置しており日々の発電量を先生や生徒などが確認することができます。
給水は敷地成受水槽から給水ポンプにより敷地内に配水しています。一部のトイレは受水槽から重力給水できるように計画しており、停電時でも利用できるトイレを計画しています。
空調はGHP(ガスヒートポンプ)及びEHP(電気ヒートポンプ)マルチエアコン、さらにGHPとHEPの機能を有するハイブリット型のマルチエアコンを採用し、利用時間帯を考慮して計画しています。換気設備は一般的な全熱交換器を主体に計画しています。加えて、化学実験室の各実験台には実験時の局部排気用にアームフードを設け、利用方法に合わせてアームフード排気系統分けをしています。

担当

基本計画 株式会社三菱地所設計
設計 大成建設株式会社一級建築士事務所
大成建設担当者
建築設計 輿石秀人、横地哲哉、小松紗織、久保順司、岡田麻友子、河合義之
構造設計 渡辺征晃、古賀美宏、松野勇輝、櫻井啓
設備設計 村田義郎、清水賢
電気設計 村田義郎、皆川翔太郎
ランドスケープ 山下剛史

SEARCH