- 用途
- 工場
- 所在地
- 滋賀県草津市
- 延床面積
- 16,817.81m2
- 階数
- 地上2階
建築設計コンセプト
「日々 美を ともに」
新たな頭髪化粧品および医療部外品製造工場を滋賀県草津市に有する土地に建設するプロジェクトです。
「美」、それは人々の生活に歓びと輝きを与えてくれるもの、そして施主である中野製薬製造株式会社が創業以来長きに渡り追い求めてきたものです。
私たちの使命、それはさらなる「美」の創造と世界の人々の暮らしに貢献することと考えました。「水」、それは生命の源であり、「美」の創造に欠かすことの出来ない大切な資源です。マザーレイクを望む豊かな水に育まれた大地の風景に相応しい佇まいを探り、地域に親しまれ環境と呼応する人々の心を揺さぶる情景をつくることを目的とし、クライアントのコーポレートメッセージである「日々 美を ともに」を設計コンセプトに掲げ、「美」を追求し、「水」と共に生きることを目指しました。
YOSHIZU SKIN
滋賀県の琵琶湖周辺で長く愛用されてきた天然素材の葦簀をモチーフに、強い陽射しを遮断しながら心地よく風を通す機能を持たせた「美」を象徴する環境装置です。琵琶湖の細波や煌めきを原風景とした柔らかい形態で多孔質なスキンを、葦簀を立て掛けるように斜めに置くことで内外の中間領域に木漏れ日空間を創出し日射による熱負荷を抑制します。
Beauty Innovation Factory
既存工場で離散した機能を集約統合し、高効率で従業員負荷を低減する自動化設備を導入した生産空間を構築しました。ヒト・モノ動線を明快に分離し、生産プロセスがワンフロアで完結するシンプルで無駄のないプランニングとし、ISO22716(化粧品GMP)を取得しました。
展示機能を持つウエルカムラウンジや従業員の憩いの空間となるリフレッシュダイニング、生産効率を高める働き方OCW(オープン・コミュニケーション・ワーキング)の導入により従業員が誇りに感じられる人にやさしい環境づくりを目指しました。
構造設計コンセプト
十分な耐震性能を確保した構造計画
本敷地は明確な支持地盤が存在しないため、詳細な地盤調査の結果を実施し、中間層支持の杭基礎として計画しました。
1階床下ピットの必要がないエリアは、1階床をマットスラブとして計画し、工期短縮に繋げています。
地上は鉄骨造としXY両方向に座屈拘束ブレースを配置することで必要保有水平耐力を1.25倍以上確保し、大地震時の損傷を抑える計画としました。
高さ29mの吹抜けとなる自動倉庫は、約3m間隔で柱を配置することで、地震力及び風荷重を処理する計画としました。
天井の落下防止には地震時の揺れを抑えるため、吊材を用いない準構造天井を採用しています。
設備設計コンセプト
製造室における個別循環空調併用による省エネ化
製造品質確保のため、本工場の製造エリアではその多くにクラス100,000のクリーンルーム性能が要求されています。一方で化粧品製造はその工程上、大きな吹き抜けの空間で構成されているためクリーンルームの性能確保のための必要換気量が大きくなる傾向があります。そこで外調機+個別循環空調機による空調方式を採用し、室内の加圧に必要な最低限の外気を導入し、室内で発生する負荷と不足分の換気量(循環量)を循環空調機にて処理することで省エネルギー及びランニングコスト削減を図りました。
ファクトラインによるフレキシブルな生産電源計画
製造エリアの一部は大空間かつ、頻繁に生産機器の移動、入れ替えがあるため、クリーンルームで一般的なコンセント(手元開閉器)や直つなぎによる電源供給ではなくファクトラインによる電源供給を計画しました。これにより生産機器の移動に対して柔軟な電源供給が可能となり、また最小限の電源停止期間での生産機器の入れ替え、電源盛替えが可能となるよう計画しました。
CASBEE Sランク取得
「YOSHIZU SKIN」の日射遮蔽効果による空調負荷削減、井水利用などによる地域の特性を生かした技術の採用のほか、空調機のISS内設置によるメンテナンス性への配慮など生産施設の特性を生かした技術を採用することで、国内の頭髪化粧品業界の工場では初となるCASBEE Sランクを取得しています。
担当
大成建設担当者 | |
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建築設計 | 宮崎伊佐央、勝又洋、桂悠花、グエンクアントゥアン |
構造設計 | 山﨑英一、板矢崇志 |
設備設計 | 奥津健治、三村渉、山田真梨子 |
電気設計 | 奥津健治、末吉剛、田畠恒瑛、印東優作 |
エンジニアリング | 大川博一、西原明彦 |