- 用途
- 事務所、データセンター
- 所在地
- 北海道石狩市
- 延床面積
- 5,354.40m2
- 階数
- 地上3階
建築設計コンセプト
自然に寄り添う建築を目指して
「ZED石狩」は、北海道石狩湾沿いに広がる工業地帯の再エネ100%エリアに立地しています。この場所は、厳しい気候や石狩川の治水など人と自然との闘いがあり、開拓や工業地域の開発など人が自然を破壊してきた歴史があります。しかし、近年では自然エネルギーの恩恵を受ける場所となりました。この場所に日本初の常時再生エネルギー100%で運用するゼロエミッションデータセンター石狩(ZED石狩)※を建設するにあたり、利己的で暴力的に自然と共生する建築ではなく、地域、エネルギー、資材、生物の4つの「循環」をテーマに、利他的で自然の摂理や循環の一部として自然に寄り添う建築を目指しました。
※京セラコミュニケーションシステム調べ、国内のデータセンターで24/7カーボンフリー電力に対応する取り組みとして。
資材の循環利用
「ZED石狩」では、その建設過程において排出される建設資材の再利用により、廃材を削減する環境に配慮した計画としました。木毛セメント版型枠をそのまま仕上げ材としての利用や地場産材の有効活用により地域の材料循環を促進させ、CO2削減を実現しました。また、型枠廃材や地中障害物をサインや什器へと転用し、施設全体での資材の循環を生み出しています。
生物・風景の循環
外構には基礎掘削時の建設残土で築山をつくり、石狩独自の海岸植生と微地形を再現することで、自然の力で緑地を安定化させました。また地形に合わせて風上から風下側に向かって、海浜植物の草原からハマナス群集、カシワ群集へと自然に移り変わるように植栽し、風がつくる自然の循環を再現することで、石狩の生態系や環境の保全に努め、新たなまちの風景となっています。
構造設計コンセプト
敷地特性に配慮した「耐震壁付きRC構造+地盤免震」
「海に近いこと」と「柔らかい地層が長く積層された地盤構成であること」という2つの大きな特長を有する敷地でした。海に近いことから、建物への塩害対策を考慮してRC造を選択しました。
また、柔らかい地層により増幅された地震動が長周期化されるため、建物(ひいてはサーバーラック)への入力加速度が大きくなることが懸念されました。これは、しばしば「地盤免震」と表現される現象であり、免震構造の性能を著しく低下させることが知られています。
これに対して、建物の剛性を高めた耐震構造をあえて選択しました。「耐震壁付きRC構造+地盤免震」の構造形式を選択することで、地震時の建物応答を抑え、サーバー室の入力加速度を250Gal以下に抑えています。敷地の特性を丁寧に読み解くことで、構造躯体のコストが廉価でありながら、高い性能を発揮する建物となりました。
設備設計コンセプト
地域エネルギーの循環促進
受電容量2~3MW、400ラック規模のデータセンターである「ZED石狩」は、自社で隣地に設置した太陽光発電所(出力1.8MW)と石狩湾の洋上風力発電所から電力を供給し、蓄電池6MWhとAI技術を活用した電力需給制御の仕組みにより再エネ電力の安定性を確保しました。これにより24時間・365日、再エネ100%での運用を実現し、エネルギーの地産地消、地域エネルギーの循環促進に寄与しています。
エネルギーの循環利用
夏場の平均気温が20℃と冷涼な気候を活かし、外気冷熱を建物内に取り込み冷房負荷を軽減する空調方式(間接外気冷房)を採用しました。特徴的な5つのBOXは耐震壁でもあり、またBOX下部から室外機置場へ給気、上部から排気を行うエアフローを可視化したものです。サーバー室の排熱を床下空調やロードヒーティングに利用し、建物内でエネルギーの循環利用をしています。
担当
| 設計 | 大成建設株式会社一級建築士事務所 |
|---|---|
| 大成建設担当者 | |
| 建築 | 土井健史、田中幹大、江森健人、原田健介(退社) |
| 構造 | 加納和麻、櫻井啓 |
| 設備 | 豊原範之、佐藤奨悟 |
| 電気 | 山口亮、家坂昂希 |
| ランドスケープ | 渡邊 敬太 |