WORKS 2025

明治安田金沢ビル

Meiji Yasuda Kanazawa Building

  • 北東側外観

    北東側外観:免震構造とRC壁式構造を組み合わせた高い開放性でまちと景色とつながる

  • 東側外観

    東側外観:薄い構造スラブと壁で構成されるファサード 内と外、昼と夜の印象が一致する本質的なデザイン

  • 東側外観(詳細)

    東側外観(詳細):金沢の伝統的町屋建築に見られる「木虫籠」をモチーフとした県産天然杉材による木格子

  • 東側外観(夜景)

    東側外観(夜景):木格子の外装と色温度3500Kでまとめた照明計画と合わせて、まちを温かく照らす行燈のような存在となることを意図

  • エントランス

    エントランス:北陸の多雪区域に温かみを与える

  • エントランスホール

    エントランスホール:スラブを活かす照明計画

  • エレベーターホール

    エレベーターホール:杉型枠を再利用したアート壁

  • 1階明治安田ヴィレッジ

    1階明治安田ヴィレッジ:まちに開かれた空間

  • 事務室(東向き)

    事務室(東向き):構造の壁とスラブを額縁とする眺望

  • 事務室(北向き)

    事務室(北向き):有効高さ3,550mmのおおらかなワークプレイス

用途
事務所
所在地
石川県金沢市
延床面積
7,137m2
階数
(事務所棟)地上9階、塔屋1階
(駐車場棟)地上5階、塔屋1階

建築設計コンセプト

地域に開かれたレジリエントな器

金沢市随一の目抜き通り「百万石通り」に面し、古くから金融街の中枢である南町に位置する明治安田金沢支社の建替計画です。敷地は多雪区域に該当し、東側には金沢城公園や白山を背景とする豊かな自然を臨みます。大きな戦禍や災害を免れてきた金沢には、城下町の構造や歴史的建造物が数多く残ります。近現代の建築物と合わさった重層的なまちなみや自然と調和を図り、明治安田の経営理念である「確かな安心をいつまでも」の体現と、予測困難な時代の変化に柔軟に追従可能な、オフィス用途のオーソドックスな建築の型にとらわれることのない、レジリエントで地域にひらかれた「器」のような存在を目指しました。

RC壁式構造×免震構造で心身の健康を提供

多雪区域と森本・富樫断層帯に近接する地域性や環境性能に配慮し、三方を耐震壁とし、免震構造を組み合わせることで、柱・梁型を耐震壁やボイドスラブと同厚とする扁平架構を実現しました。スケルトン天井と合わせて、外周梁型のない開放的でおおらかなワークプレイスとしました。
日本建築の縁側空間が借景として自然や緑を取り込むように、金沢城公園や白山の自然や緑を取り込み、緑視率の高い心身の健康を提供するワークプレイスとして、CASBEEスマートウェルネスオフィスSランク認証、ZEB Ready認証を取得しています。
免震構造の効能を活かした繊細ながらも強靱な構造を、日射や風雨、周囲の火災を遮る壁や庇を化粧打放しコンクリートとしてあらわし、華美な装飾や無駄を削ぎ落とした本質的なデザインとしました。日本人の持つ自然観や素材の扱い、スケール感といった美意識に訴えかける、心の豊かさにつながるデザインを追求しています。

地域材による木質化

金沢市の上位計画「金沢市における木の文化都市の継承と創出の推進に関する条例」において、金沢駅大門広場から片町に至る都心軸沿線区域において木質化が推進されています。上位計画との整合と石川県産木材の活用による地域貢献のため、金沢市の伝統的な町屋建築に見られる「木虫籠」をモチーフとした石川県産天然杉材による木格子を外装に導入しています。敷地西側に広がる伝統街並み区域の存在を目抜き通りに表出させるとともに、まちに大きく開かれたオフィスがブラインドレスで運用されることで、色温度3,500Kでまとめた照明計画と合わせて、まちを温かく照らす行燈のような存在となることを願っています。

構造設計コンセプト

免震構造によって実現した意匠と調和した架構計画

本建物は免震構造(1階床下基礎免震)を採用し、地上は高い剛性・耐力を有する壁主体のRC造とし、基礎免震と組み合わせることで高い構造安全性を確保する計画としました。
上部構造は、東側(金沢城公園側)が開放的で開口の多い計画であるため、柱梁型のない扁平な柱梁ラーメン架構とし、北側および南側の妻面と西側の3面をRC造耐震壁で構成することで、意匠に配慮しながらも、高い剛性と耐力を確保しました。コの字型に壁を配置とすると剛性の偏りによる地震時ねじれ変形が生じますが、免震構造にすることで、上部架構のねじれの影響を抑制することが可能となり、金沢城側軸組は見つけ寸法が小さい壁柱と扁平梁架構による開放的な空間が実現できました。
免震構造は、1階床下免震とし、高減衰ゴム系積層ゴム支承の採用により中小地震から免震効果を発揮できるシステムを採用しました。基礎構造は、設計GL−7m付近に出現する強固な粘土混じり砂礫層を支持層とする直接基礎としました。マットスラブ形式の基礎躯体とし、建物荷重を地盤へ確実に伝達するとともに、地震時の免震支承の変形に対して高い剛性と耐力で安全性を確保しました。

設備設計コンセプト

環境性能と意匠の両立

構造躯体であるフィン状の柱型と庇で構成された、彫りの深いアウトフレームによる熱環境負荷低減に加え、人検知センサーと合わせた昼光利用照明制御や、全熱交換器内蔵型外調機とCO2制御を組み合わせることで、換気風量を適正化するなどの省エネルギー技術を用いて、ZEB Ready認証を取得しました。構造を露わにするスケルトン天井とする意匠に配慮し、各階換気ではなくセントラル外調機を屋上設置とし、スパン横断を最小化するため、ダクト系統を整理することで、執務室内の露出設備を最小限としました。露わになる設備は華美に仕上げず、各々の設備の持つ素材感を活かしながら、化粧打放しコンクリートのパネコート割のモジュールに則った適切な配置とし、機能と意匠の両立を図りました。

担当

設計 大成建設株式会社一級建築士事務所
大成建設担当者
建築設計 中藤泰昭、面髙宏樹、河中基宏
構造設計 武谷政國、田部井直哉、川口恵、篠崎主弥
設備設計 久保田宗人、笹川貴久
電気設計 久保田宗人、松浦尚彦、土橋裕太

受賞

2026年 第45回 石川建築賞 優秀賞
2026年 金沢都市美文化賞

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