WORKS 2025

東京エレクトロン宮城 第3開発棟

Tokyo Electron Miyagi Ltd. Development Building No.3

  • 新たな正面性を与えるダイナミズムのある外観

    新たな正面性を与えるダイナミズムのある外観

  • 敷地俯瞰

    敷地俯瞰:敷地北側に残された最後の空地に、既存の設計思想を踏襲しながらも、機能性・安全性・快適性・持続可能性のすべてにおいて既存を超える「Beyond」に挑戦した施設(写真最上部施設)

  • 外観詳細

    外観詳細:半導体の製造工程における「成膜」と「エッチング」というプロセスに倣い、外装に現れるノイズを消して抽象度を高めながら、彫りの深い表情でダイナミズムを持たせた

  • 1階回廊

    1階回廊:視線が空に向かって貫通するリフレッシュ窓から季節や時間の移ろいを感じられる

  • 階段

    階段:縦のつながりを促す

  • 2階見学ホール

    2階見学ホール:開発環境を魅せることを目指し、4m×3mの高透過ガラスでクリーンルームを風景として切り取る

  • 2階休憩コーナー

    2階休憩コーナー:空気と光の動きを感じられる開放的な空間と洞窟のような落ち着きのある空間を併せ持つ

  • 3階回廊と打ち合わせコーナー

    3階回廊と打ち合わせコーナー:直線的でありながらもおおらかな曲線を描く交差点が新鮮な体験を紡ぎ、回廊に接続さ れた小さな広場が出会いや発見を促す

  • 3階ラウンジ

    3階ラウンジ:山並みの風景を望むテラス付きのラウンジでは季節や時間の移ろいを感じられる

  • 光と風が通り抜けるエコチューブ

    光と風が通り抜けるエコチューブ

用途
工場
所在地
宮城県黒川郡
延床面積
48,104.76m2
階数
地上3階、塔屋1階

建築設計コンセプト

安全性・持続可能性・快適性を進化させる

需要拡大が続いている半導体製造装置の新たな開発拠点です。半導体製造装置の大型化に応えるため、天井高さ6mのクリーンルームを構築し、限られた計画エリアの中に最大限の広さで計画することがを要求されました。建物は微振動制御機能を持つ特殊免震技術を導入し、半導体の設計・開発品質を向上させると共に、労働環境の安全性確保を目的としたRBA行動規範(Responsible Business Alliance Code of Conduct)に適合させ、安心安全な環境を構築しました。
また、人と地球にやさしい持続可能な建築を目指し、無人搬送設備(OHT)や遠隔操作データ受信など、大規模なオートメーションシステムの導入によりスマート化を促進し、AIを活用した省エネ技術や高効率設備の導入により既存工場のエネルギー消費量より20%以上を削減しています。ラウンジ付きのオフィスには、クリーンルームに必要な熱源を活用した床放射空調を採用。居住域空調により天井高さ3.0 ~4.5mの開放的で快適な執務環境を実現しています。

エッチングにより建物内外を整える

7階建てに相当する大きな3層のボリュームは、身近にはないスケール感によって非日常性を生み出し、人間の感覚を揺さぶります。シンプルながらも無機的で退屈な空間体験からの脱却を図り、ここで活動する人に活力を生み出します。
外観は「見上げ」に豊かな表情が得られるよう、シークエンスを意識して、緑の丘に佇む建物のボリュームを整えました。半導体の製造工程における「成膜」と「エッチング」というプロセスに倣い、外装に現れるノイズを消して抽象度を高めながら、彫りの深い表情でダイナミズムを持たせました。また、エッチングのように深く刻まれた執務空間の窓からは周囲の風景を望むことができ、外部の風景が映り込む軒が内外を緩やかにつなぎます。この軒は、直射光を遮りながら新鮮な外気を取り込む環境装置としても機能します。

生活リズムを整え、心身を豊かにする工場へ

本来クリーンルームは、外的環境を遮断し温湿度を一定に保つ無機質で閉塞した空間です。さらに、室内の清浄度を保つためにクリーンスーツを着用して作業をするために、過酷な労働環境の中で強いストレスが強いられます。そうした環境で働く従業員の切なる願いは、「少しでもいいから外を感じたい」というものでした。そこで、クリーンルームの外周部を回廊空間で包み込み、視線が空に向かって貫通する小さなリフレッシュ窓から季節や時間の移ろいを感じられるようにしました。この「循環回廊」は、目的地への移動、製品の搬出入、避難経路、見学動線など様々な機能を有しますが、同時に外部環境の緩衝帯としての役割も果たします。内外を緩やかににつなぐ縁側のような存在として、移動する時間に豊かさをもたらします。また、直線的でありながらもおおらかな曲線を描く交差点が新鮮な体験を紡ぎ、回廊に接続された小さな広場が出会いや発見を促します。空気と光の動きによる現象を風景と建築に追い求め、「外を感じたい」という想いは回廊を通じてさらに共有されていきます。青空と山並みが広がる景色に向かって大きく跳ね出す東側3階のボリュームは、その想いや感情を現わそうとした形態です。

構造設計コンセプト

先進的な免震技術と快適性の追求を両立

本建物は、最先端の免震技術を駆使することで、大地震時の床加速度を250gal以下に抑えながら、測定器室などに求められる微振動対策性能も両立しています。天然ゴム系積層ゴム支承、弾性すべり支承、剛すべり支承、オイルダンパーをバランスよく配置したMiC免震(基礎免震)を採用し、安心・安全な研究・開発環境を実現。さらに、免震支承上部の鉄骨柱脚部にはメタルタッチ接合を用いることで、工期の短縮にも寄与しています。
基礎構造では、杭基礎・深層地盤改良・浅層地盤改良・直接基礎を組み合わせることで、不陸の大きな支持層にも柔軟に対応できる設計とし、建物の安定性を高めています。
上部構造は鉄骨造ブレース付きラーメン架構とし、最大柱スパン17mの高い自由度を有するクリーンルーム空間を構築しました。
3階ラウンジには、9mの跳ね出しを可能とする5mせいの片持ちトラス梁を天井内に配置し、上部から床を吊る構造を採用。床にはTMD(チューンドマスダンパー)を設けることで歩行振動を制御し、快適で居心地の良い空間を創出しています。吊材にはφ140の細径パイプを使用し、眺望を最大限にラウンジへ取り込む設計とすることで、開放的で豊かな空間体験を提供します。
これらの構造設計コンセプトは、先進的な免震技術と快適性の追求を両立し、次世代の研究開発拠点としての安全性・機能性・居住性を高めることを目指しています。

設備設計コンセプト

さらなる省エネと、かしこい制御によりエネルギー削減

既設の熱源・空調システムや生産冷却水の廃熱回収は踏襲しつつ、さらなる省エネルギーを目指して、通常は常時一定である「冷温水送水温度」や「FFU循環風量」の設定を最適化しています。加えて、常時連続運転されがちな「廃熱回収システム」や「クールヒートトレンチ」についても、AIにより利用・未利用の省エネ効果を予測し、自動制御を行っています。設備機器は、高COPの磁気軸受インバータターボ冷凍機など、最新鋭の高効率機器を採用しました。
当社開発のクリーンルーム用青空照明「T-Clean SkyLight」を更衣室に採用しました。快適性とウェルネスに配慮した作業環境の実現に加え、照明器具内および天井裏の気密性を高めることで、清浄度の高い環境の維持にも寄与しています。
冷媒として使用されるフロンは、地球温暖化を引き起こす温室効果ガスです。そこで、低GWP冷媒であるHFO-1233zd(E)を採用した磁気軸受INVターボ冷凍機を導入するとともに、ビル用マルチエアコンには、破壊処理を行わず再生処理によって再利用可能な再生冷媒を充填し、地球温暖化防止に貢献しています。

担当

設計 大成建設株式会社一級建築士事務所
照明デザイン 株式会社ライトモーメント
サインデザイン デザインマトカ
ランドスケープ office ma
大成建設担当者
建築設計 宮崎伊佐央、勝又洋、江藤寛文、グエンクアントゥアン、山田清香、郭皓陽
構造設計 出雲洋治、小野森司、今井貴大
設備設計 鈴木真吾、信藤邦太
電気設計 鈴木真吾、近森真洋
エンジニアリング 川井聡之、岡崎政信

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