計画の背景

本計画は、「企業の技術力をアピールできる最先端工場を」というクライアントの強い思いから、新たに韮崎の地に総合技術の発信拠点となる、生産・建築・環境が一体となった次世代のスマートファクトリーの実現をコンセプトにしています。
敷地は、富士山・南アルプス・八ヶ岳など360 度を山に囲まれた場所に位置し、途切れない稜線が地域のアイデンティティとなっています。
働く人々や来訪者が「山を登るように巡る空間」を目指し、精密部品を製造する生産エリアのまわりを取り囲むように、見学・厚生エリアを配置することで、最先端の生産プロセスを見学回遊しながら、同時に外部の豊かな自然環境を望める空間を計画しました。

電気設備の特徴

本計画は、「建築設備と生産設備を統合した自動化システムによる次世代スマートファクトリーを実現する電気設備」の構築を目指し、次のコンセプトに基づいて計画を実施しました。

1. 生産稼動状況に応じた快適な照明・空調自動最適制御システム「T-Factory Next」の導入
   生産装置の発熱と人の出入りがある組立ラインエリアにおいて、人と生産装置の状況にリアルタイムに連動する次世代省エネルギー技術である照明・空調最適制御システム「T-Factory Next」を開発し導入しました。
2. 建築設備・生産設備が一体となった自動化システムによるユーザビリティの向上
   生産設備/照明設備/空調設備の省エネルギーの状況をリアルタイムにモニタリングすることで、見える化を実現し、ワーカーの省エネルギーへの取り込み意識の向上に寄与しています。
3. 生産性、快適性を確保し、働き方・ウェルネスを意識した照明計画
   地域に開かれた工場として、ガラスファサードの内側内壁を電球色のウォールウォッシャーと間接照明で照射し、山岳風景を背景に柔らかく浮かび上がる夜景を創出しています。
   3階食堂やラウンジなどの共用部は、機能性のみでなく、ウェルネスを重視した意匠・照明計画となっています。

電気設計担当者

末吉剛